化け物のような外見とは違って中は穏やかな雰囲気をしていて、他の生徒たちが置いたらしき荷物がいくつかそこに散らばっていた。
「ねぇ、バルサミコ。他の生徒は見なかった?」
「ああ、見た見た。カフェオレとぺシュな。それとレモンとブルーベリーな。あの子等、仲良いよなぁ。」
「キャンディは!?キャンディはいなかったか!?」
「キャンディよりもガナッシュよ!キルシュのバカッ!ガナッシュは見なかった?」
キャンディの事ばかり考えるキルシュへの不満とガナッシュへの心配な気持ちを抱いたアランシアが怒鳴りだした。
そんな2人を見ていたバルサミコはゲラゲラ笑うと、陽気な声で答えた。
「ああ、あの子は1人で勝手にどっか行っちゃったね〜。他の4人が帰ってこないって言ってんのに、聞きもしねぇ。」
「帰ってこない!?レモン達はどうしたの!?」
「彼女ら、カフェオレを探しに行ったきり帰ってこないね〜。カフェオレがいれば魔バスもなんとかできるかもしれないのにねぇ〜。」
「探しに!?カフェオレはどうしたの!?訳解んねぇよ!!」
キルシュの頭はパニック状態。彼じゃなくてもバルサミコの中途半端な説明を聞けば理解出来そうなものも出来ないだろう。
「ああ、ごめんごめん。分かりやすく言うとだな……こっちの世界に飛ばされたショックで魔バスが壊れてしまったんだ。それで困ってたら、カフェオレ君達が来てくれたって訳さ。」
「で、それでどうしたの?」
「部品を取り出そうと思ってカフェオレの腹を開けたのさ。」
「で、カフェオレはどうしたっぴ?」
「逃げた。」
「……俺も逃げたいよ。」
「が〜はっはっはっは!!青いね〜キルシュ少年!!お前もいずれ俺みてぇな汚ェ大人になんだよ〜!!」
ゲラゲラと笑いながらキルシュの背中を叩くバルサミコだったか、彼を除く全員は頭を打たれたようだった。
会った途端、無理やり腹を開けられたら誰だって逃げたくなるだろう。
知らない所に連れて来られ、挙句にそんな酷い目に遭ったカフェオレが実に哀れだ。
「…とりあえず、その4人を探してきます。」
「ハァ…。」
ピスタチオの溜め息が魔バス全体に響いた。
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