小鳥達がチュンチュンと鳴く朝、窓から入ってくる光が宿屋のお客様を起こした。
「おはよう皆〜。」
「おはようだっぴ!!オイラ早起きしたっぴ!!」
「怖くて眠れなかったんじゃないのか〜?」
「違うっぴぃ!!」
普段なら寝坊するピスタチオが珍しく早起きをし、そんな彼を茶化すキルシュにピスタチオは涙混じりに叫んだ。
そんな2人をアランシアは面白そうに微笑みながら見ている。
だがそんな中、未だに夢から覚めていない人がいた。
「おい、起きろ!!朝だぞ!!」
「……。」
キルシュの大きな声が部屋中に響き、ようやくミエルも目が覚めた。
「何だ??興奮し過ぎて眠れ…」
この場所に来て一番喜んでいたミエルの事だから、きっと嬉しいあまり眠れなかったのだろう。と茶化そうとしたが、身を起こすミエルの顔を見るなり、キルシュの顔が青ざめた。
「お前、その目どうしたんだ?」
「え??」
何を言っているのかさっぱり解らなかったミエルは鏡で自分の顔を見てみると、今でもはっきり見える青い痣が左の目にあった。
「…ベッドから落ちたのかな?」
「ベッドから落ちた!?どう見ても誰かに殴られて出来た物だろう!!」
「また喧嘩したの〜?」
アランシアの問いにミエルもガナッシュも答えなかった。
全員が支度を終え、村長の家に行こうと宿屋を出た時だった。
「いやーーーーーー!!!!」
昨日のこんにゃく様よりも大きな声が村中に響いた。
村のど真ん中に深い傷が出来てるパペットが横たわったまま動かないでいたのだった。
「どうした!?また殺しかッ!?」
「死んでマスわん!!死んでマスわん!!殺されたんでスわーーーーん!!!」
横たわっていたパペットは周りにいるパペットがどれ程叫んでもビクともしなかった。
そのパペットは死んでいた。具体的には殺されたのだ。
「うるせぇなぁ。いったいどうしたんだよ!?」
村の住民が騒いでる中、余りにも落ち着いてる声で面倒くさそうに殺されたパペットの所に行ったのはティラミスだった。
「参ったね、また殺しですか。呪われてますなぁ。」
他のパペット達とは違って冷静に語るティラミス。だが、そんな彼が浮かべる笑みに誰一人気付かなかった。
「どうしたんですか!?」
騒ぎ声を聞き駆け付けたミルフィーユも草原の上で倒れてるパペットに気付き、その前でガクンと跪いた。
「どうして!?どうしてなのッ!?どうして私たちが、こんなに惨めに殺されなきゃいけないの!?」
ミルフィーユの目から溢れる涙が草原の上に落ちていた。
一方、余りにも唐突な出来事に5人は言葉が出なかった。
住民によると今回が初めてでは無いらしいが目の前で誰かが死んでいる、それも殺されてるのは言うまでもなくショックなことだった。
ミルフィーユを支えてるミエルを始め、5人は村長の家へ向かった。
そうしてる中、あんなに騒がしかった村は再び静まり、パペット達はいつものように村を歩き回ったり、話し合ったりしていた。
変わったのは、村の奥に死んだパペットの墓がある事だけだった。
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