こんにゃく様が出てきた屋敷に行って見ると、地下へ繋がってるらしき梯子があって確かに物騒な声が聞こえていた。
気をつけて地下へ降りてみると、聞き覚えのある声が洞窟のような場所に響いた。
「どうだ……融合してみる気になったか?」
「い…嫌だ……。」
「くっくっく、そうは言っても、だいぶ心に隙が出来てきてるぞ。もう一発くらってみるか?」
途端、最初の洞窟で何度も聞いた闇の魔法が放たれる音が響いた。
「うああああぁぁぁぁっ!!」
「キルシュの声だっぴ!!」
「すぐに行くからな…。根性見せろよ、キルシュ。」
地下の奥へ行くと、先ほど会ったエニグマ、ヴァルカネイラと、傷だらけになったまま倒れてるキルシュがいた。
「やめろ!そいつに手を出すな!」
ガナッシュの声を聞きヴァルカネイラは彼等の方へ振り向いた。
「なんだ?助けに来たのか?」
「そうよ。「違う。」…??」
ヴァルカネイラの質問にミエルとガナッシュが同時に答えた。全く正反対の答えを。
ガナッシュの言葉にその場にいる全員が耳を疑った。
「くくっ…面白い…。俺を殺しに来たとでも言いたいのか?」
「…それも違ったらどうする?」
そう言うとガナッシュはヴァルカネイラの所に近付いた。流石に警戒してたのか、ヴァルカネイラはキルシュに爪を向けた。
「おっと!それ以上近づくなよ?今はお前らを相手にしてる力は残ってない。どうしてもと言うなら俺はコイツに止めをさしてずらかるだけだ。」
「ガナッシュ!!キルシュが殺られるっぴ!」
「俺の事は気にするな!!戦える!!」
とても動けそうにない体を無理やり動かして立ち上がろうとしていたキルシュの声は辛うじて聞こえる程だった。
命が危うい仲間、隣に立ってる人の訳の解らない行動、仲間を襲おうとする敵。
すべてに苛立ちを感じていたミエルはとうとう我慢できず、攻撃を加えようとした。が、それはある言葉によって遮られた。
とても予想外で、衝撃な言葉。
「俺と融合しないか?」
「!!!!」
「ガナッシュ!裏切るっぴか!!」
「……。」
次々と仲間が反応する中、ヴァルカネイラはキルシュから離れ、ガナッシュを品定めするかのように見回した。
「なるほど…。パワーも高い。属性は闇…。良い宿主になりそうだ。出来るなら、あの小娘の方が良かったんだが…。」
そう言うと、やがてヴァルカネイラは不気味な笑い声を出した。
「はっはっは…いいぞ……ようやく光のプレーンを落とす時が来たのか!」
「だがその前にお前を試したい。」
「!?何だと……!!」
ガナッシュがヴァルカネイラに向けて手を伸ばすとそこから出てくる闇の魔法がヴァルカネイラを包み込み、悲鳴を上げる余裕も与えず打ち消した。
どうやら今のはキルシュを助けるための芝居だったようだ。
「口程にもない。」
「ふ〜、そ〜ゆ〜ことだったのね〜。」
「俺たちまで騙されるところだったぜ。全く、人が悪いヤツだぜ。」
アランシア達は安堵の息を吐いていた。だが、ミエルはガナッシュを横で睨みつけていた。
「これから、どうするっぴ?このあたりにはもう誰もいないっぴ。」
「そうね〜、トルーナ村の村長に遺跡に入る許可をもらって、遺跡を抜けて、え〜と。」
「ワクティ村だ。愛の大使の村があるはず。」
「よっしゃあ!!そうと決まれば行くぜ!!」
4人が出口へ向かう間、ミエルは眉に皺を寄せながら腕を組んだ。
あれが単なる騙まし討ちならこの違和感は何なのだろう?
これもただの怒り?それとも……。
「ミエル、行くっぴよ。」
「あ…うん。」
まあ、今は考えるのは止めよう。キルシュは助かった。今は他のみんなを探すことだけを考えよう。
そう思いながらミエルは4人と共に地下室から出て行った。
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