マジバケ小説 | ナノ


波の音が聞こえる海岸まで近づくと、さらに多くのエニグマがあちこちを歩き回り、カシスとガナッシュがそいつと戦っていた。

「ミエル、無事だったんだな。」
「カッシー!!皆が……皆が!!」
「解ってる。油断するな。お前は早く先生を探せ!!」

カシスに言われ、ミエルはまだ行ってないコテージの方へ向かった。

「来ないでぇー!!」

もう少しでコテージに辿り着ける所でキャンディの悲鳴声が聞こえた。

「キャンディ!!」
「きゃあああ!!」

あと少しの所でキャンディは挟み撃ちにされ、他のクラスメートのように居なくなってしまった。
友達を目の前で失ってしまったミエルは、目を赤く染めながら2匹のエニグマを睨み付けた。

「皆をどこへやったの?答えなさい!!」
「ほう?まだいい奴が残ってるじゃないか?面白い。その力、十分に見せてもらおう。」

不気味な笑みを浮かべながら1匹のエニグマがミエルに飛び掛った。
だが、そのエニグマを無数の風の刃が襲い掛かり、気付いた時はそのエニグマはすでに居なくなっていた。

「返して。皆を返して!!でないとあんたもさっきの奴と同じようにしてやる!!」
「くっくっく、面白い。全力でかかって来るがいい。」

もう1匹のエニグマを鋭く睨みつけているミエルが風を蓄えながら近づいた時だった。

「ミエル、手を出すな!」

いつの間にかガナッシュが現れエニグマに向けて黒い炎を出し、炎に包まれたエニグマは後形も無く消えてしまった。

「…な…なんて事するの!!」

いきなり鋭い声で怒鳴られ、ガナッシュはミエルを見つめた。

「皆の居場所を聞き出すつもりだったのに何余計な事するのよ!!」
「…今はそんな事言ってる場合じゃないだろう!」
「じゃああんたは知ってるの!?皆が何処にいるのか解るとでも言うの!?」

2人が言い争う中、黒い影が2人に近づいた。他の皆を連れ去ったエニグマがまだ残っていたのだ。
そのエニグマは今、ミエルを襲い掛かった。

「!!!」
「ミエル!!」

エニグマの手に叩きつけられたミエルは遠くへ飛ばされ、気を失った彼女の身を青い手が持ち上げた。

「そいつに手を出すな!!」
「ケッケッケ。貴様が言う資格はあるのか?」
「…っ…!!」

ガナッシュがしばらくその場から動かなくなったのを隙にミエルを連れたエニグマはその場から消えてしまった。

「ガナッシュ!!大丈夫!?」

ほぼ全員が居なくなった時、あれほど探していた先生がようやく姿を現した。

「先生!!他の皆は!?」

ガナッシュの問いにマドレーヌはしばらく俯くと静かに語った。

「……。皆連れていかれた……。」
「連れていかれた!?どこへ!?奴らは一体何者なんだ!?」
「奴らはエニグマ……闇から生まれた生き物よ……。この世界には手を出さないはずなのに……なぜ今になって……?」
「そのエニグマっていう化け物……そいつが皆を次々とどこかに連れて行った……。」
「この辺りは全部囲まれてるみたい……どこにも逃げ場なんてないわ。」

完全に諦めかけてる担任の先生を見てガナッシュは思わず叫び出した。

「もういい!!誰が逃げたりするもんか!!先生だって、最初からこうなることが解ってたんだ!!」
「ガナッシュ!!」

ガナッシュは1人で海岸へ走って行き、マドレーヌも彼を追う様に駆け出した。

 
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