マジバケ小説 | ナノ


海岸で遊んでいる色々な人達を通り過ぎコテージが目の前に現れた場所でミエルは立ち止まった。
そこには、同じように自分に気付いて立ち止まっていたガナッシュがいる。
しばらく黙って立っていた2人だがやがてミエルが何もないように彼を通りすぎようとした。
が、ガナッシュが自分の腕を掴んだ事で遮られた。
そんな彼を睨みつけたのは、言うまでもない。

「ミエル、話がある。海岸の方に来てくれ。」

と言い残すと、ガナッシュは手を放し、また遠くへ去って行った。
勿論、そんな彼に付いて行くつもりは彼女には全く無い。
コテージの方へ行くとそこには落ち込んだまま座っているキャンディがいた。

「キャンディ?」
「……はぁ。駄目なのかな、私。」

今の言葉で何があったのか大体予想できたが、彼女に何を話せばいいのか解らなかった。
結局、ミエルはキャンディの隣に座って海を眺め続けた。

「はぁ…。私がミエルだったらなぁ。好きにならずに済んだかも知れないのに。」
「……。」

何の返事も帰ってこないので見てみると、眉を顰めたまま海を眺めてる親友がいた。

「あ、ごめん。そんなつもりで言ったんじゃなくて…。」
「別に気にしてないよ。それに好きになる方がずっといいよ。
その人を考えるだけでも幸せになれるから。」
「……そうだけど……。」

普段はどんな事でも積極的なキャンディも片思いの人の前では弱くなってしまう。
とても女の子らしくていいのに、何だかとても勿体無いものだ。

「大丈夫だよ。キャンディならきっと上手く行くよ!!」
「…本当に?」
「今までそうだったでしょ?キャンディは努力家だし、諦めなければ何でも出来たじゃん!」
「……そうよね。そうだよ、うん!!私、もう一度やってみる!!」

やっといつもの明るいキャンディになったのを見てミエルも思わず微笑んでしまった。

「それよりミエルは?まだ仲直りしてないの?」
「……する必要なんて…。」
「駄目よ!!いつまでもこのままじゃ、後で私が困るじゃない!!」

もし告白が成功すれば、キャンディとガナッシュが恋人になる。親友と恋人が喧嘩するのを望む人など居ないだろう。

「ちゃんと仲直りするまで私ここから離れないから!」
「何よそれ……。」

仕方なくミエルはガナッシュのいる方へ向かった。行った所ですぐ仲直り出来るかどうかは疑問であるが。

海岸に行くと緑髪と銀髪が話をしているのが見えた。

「あれ?カッシー??」
「お、ミエル聞いてくれよ。 ガナッシュが俺様に戦い方についてレクチャーするんだぜ〜。俺を誰だと思ってんだよ〜。」
「ふーん。で、話って何?」

カシスの愚痴を聞くと、ミエルは鋭い目付きでガナッシュを睨みつけた。

「嫌な気配を感じる。何かが来る 。戦闘について最低限の説明をするから、肝に命じておけ 。」
「……。」

そしてガナッシュの長い長ーい戦闘講義が始まった。カシスは途中で欠伸をしたが、ミエルは意外な事に真剣に聞いていた。

「レモンとキルシュにも気をつけておくよう言っておいてくれ。奴らは戦力になる。」
「あんたが言えばいいでしょう?私はあんたの伝言役じゃない。言いたい事があるなら自分で言って!」
「まあまあ、そう荒れるなって。つーか他にも教える事あるだろう?」

ミエルを宥めたカシスがガナッシュに視線を移したが、ガナッシュは視線を逸らした。

「俺は俺が必要だと思ったことだけを伝えている。言いたいことがあるなら自分で言ってくれよ。」
「……頑固なオッサンだなぁ」
「オッサンだと?俺の方が1コ下だぞ!」
「うっせーなぁ。」

たかがオッサン呼ばわりされただけでムキになるガナッシュ。まあ、彼も所詮は15歳の子供。そうなる時もあるだろう。
2人を見ていたミエルは目をくるっと回すと、キャンプファイアの方へ足を運んだ。

「ミエル。」

まだ言いたい事があるのかガナッシュがミエルを呼び止めた。

「とにかく、生き延びる事を考えるんだ。」
「……。」

ミエルは何も言わずしばらく睨みつけると、再びキャンプファイアへ向かった。
仲直りするのは……少し後になりそうだ。

「でもよぉ。本当に大丈夫なのか?
あいつ、魔法の勉強したのもほんのちょっとだし、実技なんてほとんどしてないぜ。」
「ミエルなら大丈夫だろう。お前が思ってるほどあいつは弱くない。それに……」
「ん?何だ?」
「……いや。何でもない。」

 
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