マジバケ小説 | ナノ


写真を撮りながら散歩をしていると、砂浜のあちこちに落ちていた三角形の銀貨が月に照らされて光っているのが見えた。

「うわ〜!面白い形してる〜!」
「きっと昔の文明が使ってたアルティ銀貨さ。」

銀貨を一つ手にとって見ていると、そこら辺を散歩していたシードルがやって来た。

「へぇ〜昔はこんな物使ってたんだ〜!!」
「相変わらず子供だね。そんなもんにそこまで興味を持つなんて。」
「子供じゃない!!シードルと同い年だもん!!」

子供呼ばわりされたミエルが顔をぷーっと膨らませてる姿に思わず笑ってしまったシードルだった。

「う〜!!シードルの意地悪ぅ〜!!」
「解った解った。もうからかわないから。」

何度もシードルが宥めてもミエルは拗ねたままだった。が、それもほんの数秒間だけだった。

「そう言えば、ミエルって海初めてだよね?」
「え?うん。」
「じゃあ、明日2人で散歩でもしない?今もいいけど、朝の海も綺麗だからね。」

シードルの言葉を聞くなりミエルの目が夜空の星を全部蓄えたように輝きだした。

「行く!!見て見たい!!朝の海!!」
「はは。やっぱり子供だ。」
「意地悪ぅ〜〜〜!!!」

こんな感じで会話が進んだものの散歩の約束は何とか果たし、あちこち歩き回ってるシードルと別れたミエルはコテージの方へ足を運んだ。

一方、コテージの近くの砂浜で、キャンディがガナッシュを呼び、少し顔を赤くしながら何かを話そうとしていた。

「あ、あの〜呼び出したりしてごめんね。ガナッシュ、この前誕生日だったよね?」
「誕生日?もう随分前だけど…どうかしたの?」

この言葉は予想していたのか焦ることなくキャンディは話を続けようとした。
どうやらキャンディが告白しようとした相手はガナッシュだったようだ。

「いや、その…実は、その時プレゼント用意してたんだけど渡せなくってさ……今日持ってきたんだ。あはははは。」

そう言ってキャンディはガナッシュに小さな箱を渡した。
黄色いラッピングと水色のリボンが実に可愛らしい箱だった。

「あ、そう……ありがとう。」
「それで、えーと、なんて言うかね?私さぁ、あの…。」

ようやくキャンディが言いたかった事を言おうとした時だった。

「キャンディの誕生日いつだったっけ?」
「え!?私!?私は、来月だけど……。」

これは流石に予想外だったのかキャンディは激しく慌てながら答えた。

「それじゃその時に、俺から何かプレゼントするよ。」
「ほんと!?うれしーーーー!」

キャンディは今大空へ飛んでいく程嬉しかった。好きな人が自分に何かをしてくれる。
本の小さな事かもしれないけど、これほど嬉しいことが他にあるだろうか?
そう思うのはいいものの。

「それじゃ。」

本当に言いたかった事を言うよりも前に相手が場を去ろうとしている。
慌てたキャンディは急いで彼の腕を掴んだ。

「あああん!ちょっと待って〜!まだお話があるんだけど〜!」
「ごめん、後にしてくれないか。学校に帰ってから聞くよ。」
「あううう……そうね、また後でね……。」
「プレゼントありがとう、大切にするよ。」
「ん、んーん!気を遣わなくていいの!いらなかったら捨ててね。」

結局キャンディは掴んでた腕を放し、彼が自分から遠くなっていくのを黙って見つめるしかなかった。


 
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