マジバケ小説 | ナノ


洞窟の中は海岸とは違って真っ暗でひんやりとしていた。

「おーっ、雰囲気ばっちりだぜ!!」
「早速宝探しだー!!」

宝探しで張り切ってるキルシュとセサミとは対照的にアランシアはブルブルと震えていた。

「怖いよー。来なければよかったー。えーん。」
「何もねぇよ。あるのは淀んだ空気だけ。気が滅入るだけだ。」

洞窟の奥を歩いてみるといくつかの宝箱があちこち散らばっていた。
だが、どれも開けられていて中には何も入ってない。

「全部空だヌ〜…。」
「最初からお宝なんて無いんじゃないの?」
「いや、絶対ある筈だ。もっと奥に行ってみようぜ!!」
「え〜?もう帰ろうよ〜。」

アランシアの言葉を聞きもせず奥へ行くキルシュ。だが、彼の予想通り奥のほうにもう1つ宝箱あった。

「おーい!!見つけたぜ!!」
「これ中身入ってるんじゃねぇの?」
「やったー!!お宝だぁ〜!!」

宝箱を見つけて盛り上がったキルシュ、セサミ、そしてミエルの3人がその宝箱を開けた瞬間だった。

「……。」
「どうしたんだよ?見せてみろよ。」
「何だヌ〜何だヌ〜?」

複雑な顔をしながら3人が見つめてる宝箱の中にあったのは…。

「まつぼっくりヌ〜?」
「な〜んだ。がっかり〜。」
「ひゃっほー!!サイコーだぜ!セサミ!グレイト!!」
「どうする?1人ずつ分ける?」
「いいよそんなもん捨てちまえ。」

そこら辺に落ちてそうなまつぼっくりが6個、中に入っていた。
それぞれが失望したり、茶化したりする中、セサミは顔が真っ赤になった。

「なんで海賊の宝がまつぼっくりなんだよ!!アッタマきたーーーーッ!!やられたーーーーッ!!…帰ろ……淋しい…。」

そんなに大した事のない宝物を見つけて途方に暮れたセサミを慰めながら、6人は洞窟から出て行った。

「……??」

ふと、何か気配を感じたミエルが後ろを振り向くと、さっきまでは無かった紫色の渦巻きがぐるぐると回っているのが見えた。
それに惹かれるかのようにそこへ足を運んだ時だった。

「近づいては駄目!」

何処から女性のような声が聞こえ、ミエルは動きを止めた。

「そこは危険です。お戻りなさい!」

「……誰?」

辺りを見回しても、そこには自分しか居なかった。すると、

「ミエルちゃあん!!」

突然叫び声が洞窟中に響くと、物凄い勢いでペシュが洞窟の奥へ駆けつけた。

「何こんな所でぼーっとしてますの!?キャンプファイアはとっくに始まってますの!!急ぎますの!!」
「ちょっ、ペシュ。速い速い!」

ペシュに引き摺られ、ミエルも洞窟から出て行った。渦巻きから何やら不気味な声がしてるのも知らずに。

to be continued……

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