マジバケ小説 | ナノ


ザーザーと静かな音を出している海の水、ミエルはその中で体を浮かばせながら真っ赤な空を見つめていた。
冷たい水と暖かい太陽の光に包まれるほど、気持ちはどんどん楽になっていく。
いつの間にか海岸から遠ざけてる事に気付き、ゆっくりと泳いでようやく水から上がった時だった。

「ミーエル〜!」

奥からアランシアの呼び声が聞こえると、彼女とキルシュ、セサミ、カシスにカベルネが自分の方へやって来た。

「どうしたのそんな大勢集まって?」
「セサミが洞窟を見つけたから今から探検に行くんだ。ミエルも行くか?」
「きっと宝があるぜ。嫌なら後で分けてやるよ。」

キルシュとセサミの話を聞き、突然ミエルの目が輝きだした。

「行く!!宝探し!!私も行く!!」
「なぁ?喜ぶだろう?」

たかが探検に誘っただけでパーッと明るくなったミエルはセサミが見つけたと言う洞窟の方へ駆け出した。

「あ〜!!待てよ!!俺が先に見つけたんだぜ!!」
「早いもん勝ち〜!!」
「だったら尚更俺の方が先じゃねぇか!!」

セサミも負けないように走り出したせいで残りの4人も走らなければならなくなった。
子供と言うのは本当に元気でいいものだ。

ミエルとセサミの駆けっこが終わり、残りの4人もようやく彼等に追いついた所で洞窟に向かった時だった。

「ここだ…。」
「…何か解るの?」

ガナッシュとオリーブが入り口を見ながら話していた。
2人とも何やら深刻な表情をしている。

「近付かない方がいい。ここはヤバすぎる。」
「一体、何があるの?」
「闇…。果てしない、暗闇が……。」

「どけよ、ガナッシュ!!俺が見つけた穴だぞ!!」

宝を横取りしに来たと思ったセサミが2人に怒鳴り、会話はこのまま止まった。

「行くんだったら、覚悟を決めろよセサミ。」

立ち去っていくガナッシュは途中である人物が居る事に気付いて立ち止まった。

「ミエル。お前も行くのか?」
「何?私がどこに行こうがあんたには関係ないでしょ?」

冷たい視線を放つミエルをしばらく見つめると彼女を通り過ぎる時「気を付けろ。」と囁いて去って行った。
そんな彼を彼女が睨みつけている事に気付いたかどうかは今の所解らなかった。

「気を付けてね。」

オリーブも皆に告げるとガナッシュに付いて走って行った。

「脅かすなよ。ビビるじゃねぇか。」

と言いながらも、セサミは余り気にしていないようだ。


 
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