マジバケ小説 | ナノ


龍の骨を扉にした様な死の回廊の入り口。その中に入ると、とても意外な風景が目に映った。

辺り全体がお花畑で、心地よい風が花びらを運んでいる。
穏やかな雰囲気を出すこの場所は、死を受け入れずに彷徨っている魂を安心させ、新たな人生を迎え入れさせようとしてる様だった。

「…何だか心が和むヌ〜。」
「…うん。ちょっと安心した。」
「安心?」
「本当は、凄く心配してたの。暗くて、怖い洞窟みたいだったらどうしようって…。」

遠くを見つめてるミエルを見ていたカシスは苛立ちに似た何かを感じた。
カシスには、今のミエルがまるで自分が何をしにここに居るのか解っていない様に見えていた。

「おい、もう少し気を引き締めろよ。俺達散歩してる訳じゃねぇんだよ。」
「…そんなの解ってる。」
「解ってるって。何なら、ここではっきりしてもらうぜ。お前は、本当にキャンディを助けに行くのか?本当はキャンディに憑いたエニグマを倒したいだけなんじゃないのか?」
「…そうね。強ち間違ってはない。人の中に入って、自分の思い通りに操る。そんな化け物に親友を奪われる訳にはいかない。だから倒すのよ。そう言うあなたはどうなの?」
「……。」

勿論エニグマは倒さなければいけない。だが、キャンディに取り憑いた状態でどうやってたおせばいいのか?
このまま解決法が見つからず倒してしまったらキャンディはどうなるのか?
解く事のなかった疑問を抱えたまま、ミエル達は死の回廊を抜け出した。

魔バスで残っているクラスメート達は皆難しい顔をしていた。
その中でもキルシュとオリーブは、他の皆より険しい顔になっている。
皆には残るように言われたが、果たしてそれで良いのだろうか?戦えないかも知れないけど、だからと言ってここでただ待っているだけなんて都合が良過ぎるのではないか?
何も言わずただ下を見ていたキルシュはしばらくすると突然立ち上がった。

「俺、やっぱ行く!いや、行かなきゃいけない!」
「ちょっと待ってよ!皆が戻るまで待ってって…」
「悪ぃ。やっぱ無理だ!ただ待ってるだけなんて俺には出来ない。」
「わ、私も行く!!」

キルシュに続いてオリーブが立ち上った。

「よし、じゃあ行くぞ!!」
「うん!」

振り向かずただ走る2人を、バスにいたクラスメート達は止められなかった。

 
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