星の洞窟と呼ばれているラキューオはモイロロト村から西の方にあった。
海岸にあった洞窟よりずっと大きく、入り口の奥は何も見えない位真っ暗だった。
だが、中に入ると、死のプレーンとはかけ離れた風景が目に映った。
洞窟の中はあたり一面に星が輝く夜空が広がっていて、小さな星屑の集まりは白い道になっていた。ほぼ全体が灰色で生命を感じない死のプレーンとは違って色鮮やかなラキューオは、まさに星の洞窟その物だった。
「これがラキューオか。大分イメージと違ったな。」
「人は死ぬとお星様になるって話、本当だったんだヌ〜。もしかしたら、兄貴もここにいるかも知れないヌ〜。」
「うん。ひょっとしたら……。」
人が死ぬのは悲しい事だが、同時に新たな自分が生まれる時が来るまで、星となって身を休める事のかもしれない。
そして、星として存在する間、生きている人達の世界を見守っているのかもしれない。
死はたくさんの人達に恐怖を与えるが、死その物が恐怖ではない。死を受け入れる事は、過去を振り替え、新たな自分を受け入れる事。
それをこの星の洞窟にある無数の星達が教えている様だ。
「確か、星を全部消したらブラックカラントが現れるんだよな?だったら、早く星を探しに行こうぜ!」
「そうね。でも、かなり広いから、手分けして星を探すのが早いかもしれない。」
「じゃあ、僕はミエルと一緒にあっちの方を探すよ。」
「えっ?」
「あ、おい!!」
シードルはミエルの手を掴み、トリュフが制する前に西へ行ってしまった。
「……何なんだあいつ?」
「じ、じゃあ、カベルネ、俺とあっち行ってみようぜ〜。」
「あ…そ、そうだヌ〜。あっちに星が在りそうだヌ〜。」
「おい、待て!!」
「トリュフ〜、そっちは頼むぜぇ〜。」
「サボったりしちゃ駄目だヌ〜!!」
キルシュとカベルネは肩を組みながら北の方へ行き、残ったのはトリュフとオリーブだけとなった。
「……。」
「…行っちゃったね。」
「……。」
「…ど、どこから行く?」
「…フン。お前と一緒にいるなんてごめんだ。俺は1人で探す。」
「あ、待って!」
東へ歩き出すトリュフをオリーブはただ追いかけて行った。
「本当に大丈夫なんだヌ〜?」
「大丈夫だって。あいつもそんなに冷てぇ奴じゃないんだし。一緒にいれば、すぐ仲良くなるって。」
「うーん…不安だヌ〜。」
キルシュが大丈夫だと言いながらも怪しそうにトリュフ達を見るカベルネ。だが、そんなカベルネの気持ちも理解できる。
オリーブが心を読めるせいで彼女から避けようとしてるのはトリュフもだ。
少しでも長く一緒にいれば仲良くなるだろうと、あえて2人だけにしたが、最初からあんな風では先が思いやられる。
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