マジバケ小説 | ナノ


霧に包まれた死の回廊の入り口。ガナッシュとキャンディはちょうどその前に立っていた。
2人が回廊に入ろうとした時、ふとガナッシュが動きを止めた。

「……。ミエル…。来てるのか……?」
「???解るの………? 」

キャンディが目を見開いたままガナッシュに問うたが、ガナッシュはただ遠くを見つめ、再び口を開けた。

「遅かったよ……。ミエル……、もう、俺を止められない。決めたんだ。俺は姉と同じ闇に落ちる。あの人の手を引いて、戦場へでも、地獄へでもいい。俺達の場所を探しに行く。もし俺を止めたいなら、俺と同じ闇に落ちて来い。」

まるでミエルがすぐそこにいるかの様に語りだすガナッシュを見てキャンディは眉を顰めた。
ガナッシュは今、自分ではない別の人を思っている。それも、親友であるミエルを。彼女がクラスに転入してからずっとそうだった。いつも無口だった彼も、ミエルと一緒だと口が弾んでいた。大喧嘩をし、憎まれてからも、ガナッシュはミエルを見続けていた。今だってそう。ガナッシュはここに居ないミエルに語っている。
本当は解っていた。ガナッシュは、ミエルの事が…。

「……私を見て、ガナッシュ。あなたを生かしてあげてるのは私よ……。私を見ないんだったら、あなたなんか、消えていいのよ。」

でも、今ガナッシュの傍にいるのは自分。自分以外の人を見るならいない方がいい。
怒りに満ちた表情で自分を見ているキャンディへとガナッシュは視線を移した。

「キャンディ……感じたことをちゃんと言えるようになったね。
何でだろう……、こんなにも嫌な場所にいるのに 悪い事ばかりじゃない。ときめきすら感じてる。」

しばらく入り口を見つめていると、ガナッシュとキャンディはゆっくりと死の回廊の中へ入って行った。

 
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