マジバケ小説 | ナノ


元に戻ったガスパッチョ村の村長からガナッシュ達らしき人物がモイロロト村へ向かったのを聞き、ミエル達はその村がある北へむかった。

「にしても、あいつも面倒な事をするものだ。姉を救うためだからって、自ら闇に染まろうなんて。」
「あいつは、あいつなりに考えてたんだヌ〜!ガナッシュを馬鹿にするのもいい加減にするヌ〜!」
「俺は本当の事を言ったまでだ。」
「トリュフは冷たすぎるヌ〜。少しはミエルに似てほしいヌ〜。」
「俺は俺で、ミエルはミエルだ。」
「でも、双子だヌ〜…。」
「止めなよカベルネ。トリュフの性格解るでしょ?」

村へ行く間も喧嘩をするカベルネとトリュフ。2人は入学した時から仲が悪く、このようによく言い争いをしたりする。

「でもよぉ。可笑しくないか?双子なのに、何で苗字は違うんだ?」
「……。」
「もしかして……」
「他人のプライベートな事に首突っ込むな。今はガナッシュとキャンディを探しに行くんだろう?」
「いや、そうだけど…。あ、待てよ!!」

キルシュが話を終えるも前に、トリュフはせっせと北のほうへ走って行った。
そんな彼を悲しそうに見てる人が居た事を、この時は知る由も無かった。

砂地を踏みながらようやく辿り着いたのは岩で出来ている家や店、宿屋がある村、モイロロト村だった。
モイロロト村の住人は全身が岩や泥で出来ているマッドマンで、全員が同じ形をしてるそのマッドマンを見ると、誰が誰なのか区別が付かなかった。
村を歩き回る中、宿屋の近くにいたマッドマンがミエル達を見ると、驚いたように目を見開いた。

「おやおや?今日は生きてる者達に良く会うんだなっす。」
「生きてる者?」
「さっきも男女一組がここを通ったんだなっす。ケルレンドゥを探してるって言ってたんだなっす。」
「ガナッシュとキャンディだヌ〜!」

ガナッシュとキャンディらしき人物がこの村を通った。急げば、すぐ追い付くかもしれない。

「2人を追ってるんだなっす?その2人なら死の回廊に向かったんだなっす。あ、でも死の回廊に行くには闇のヴェールが必要だなっす。2人にはさっき俺が闇のヴェールを渡したんだなっす。」
「じゃあ、その闇のヴェールを俺達にもくれないか?」
「……ごめんなさいだなっす。闇のヴェールはもう持ってないんだなっす。
そうだ!あんた等には光のヴェールをあげるんだなっす。
これがあれば、星の振りして星の洞窟・ラキューオに入れるんだなっす。
ラキューオには、闇の大精霊・ブラックカラントがいるんだなっす。
ブラックカラントに闇のヴェールをもらえば、死の回廊に入れるんだなっす。 」

そう言うとマッドマンは白く輝く薄いヴェールをミエルに渡した。

「闇の大精霊は、星を全部消さないと見えないんだなっす。」
「星?」
「星は死んだ人の魂なんだなっす。 聖者や英雄は、ラキューオで、星に生まれ変わるんだなっす。
生まれたばかりの星は、戸惑ってるから、優しく声をかけてあげるといいんだなっす。
『あなたは、新しいプレーンの主になりました。』と言ってあげるといいんだなっす。
いや、口に出さなくとも、心にその気持ちがあるだけで良いんだなっす。
そうすると、星は自分の立場に気がついて、空へ上がって行くんだなっす。
とにかく、全ての星に声をかけてあげることだなっす。 」

マッドマンはミエル達に手を振ると、マッドマン達の多くいる所へのんびり歩いていた。

「とにかく、ラキューオに行けばいいんだな?じゃあ、さっさと行くぞ!」
「そう急かすな。急がなくても星は逃げたりしない。」
「星はどうでも良いよ!!急がないとキャンディに追い着けなくなるだろう!?」
「やれやれ……。」

頭の奥までキャンディの事ばかり考えるキルシュにトリュフは溜息を吐き、せっせと歩くキルシュを追ってミエル達はラキューオへと向かった。

 
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