マジバケ小説 | ナノ


ミエル達が空間が元に戻ったガスパッチョ村に戻ってる間、ガナッシュとキャンディはそこから離れてるもう一つの村にいるマッドマンと話をしていた。

「ケルレンドゥ?エニグマ?それなら、きっと“モギナスの魔窟”だなっす。奴等は、せっかちだから、すぐ死のプレーンから出て行くんだなっす。
死のプレーンに来た者は皆、モギナスの魔窟を通って生まれ変わるんだなっす。」
「ありがとう。急がないとまた、どこかに生まれ変わるってことだな」
「でも、死者でないと『死の回廊』を超えられないんだなっす。俺達、死者じゃないけど闇のヴェールを持ってるから、死の回廊に入れるんだなっす。俺達、死の回廊には滅多に行かないから、お前にやるんだなっす。」
「かたじけない。」

マッドマンから闇のヴェールをもらい、ガナッシュが地図を取り出してモギナスの魔窟の場所を調べていると、後ろに居たキャンディが静かにガナッシュに囁いた。

「ねぇガナッシュ……あなたを壊したい。」
「俺を…?どうして?」

疑問を抱いた顔で自分を見てるがナッシュを見てキャンディは慌てて振り向いた。

「ごめんなさい。駄目なの…エニグマの森で倒れてから、私の中に何かが居るの……自分を止められないの。
私、あなたと戦いたい。全力でぶつかって来て!!力を見せて!!」

東の森で倒れた事があったキャンディ。恐らく、この時にエニグマが憑いたのだろうと察した。

「……いいよ。でも今の俺じゃとても君の相手にはならない。」
「ガナッシュが……? まさか……。」
「君はもう、学校に居た頃のキャンディじゃないんだ。俺がケルレンドゥと融合してから、思いっきりぶつかろう。それじゃダメかい?」

姉のヴァニラもかつてグラン・ドラジェと戦いたいと言ったことがある。その時感じた切なさを思い出しながらも、ガナッシュは冷静にキャンディに告げた。
そんなガナッシュを見てるキャンディはガナッシュから背を向き地面を見つめた。

「…体を引き裂いて、黒い獣が出てくる夢ばかり見るの……私の中に、凄まじい力があって胸を突き上げてくるの!!どうすれば抑えられるの!?あなたがケルレンドゥに会う前にあなたを殺すかも知れない!!」
「いいよ……俺の死で何かが解るのならそうすればいい。」
「そんな風に言わないで!あなたは私の憧れだったし、目標だったし、一番大切なクラスメートだったの。
私は多分、あなたを超えたいだけなの。私が私であるためには超えなきゃいけないの!
あなたの力を見せて!!最初から負けを認めないで!!」
「戦って、勝つことでしか、自分を確かめられないって言うんなら全力でぶつかってやる。」
「そう聞いて少し安心した……私、変だよ、やっぱり。」
「……今のまま君を帰すと、キルシュが俺と同じ苦しみを味わう。君の家族は国を追われ、マドレーヌ先生も恐らく、君と戦うはめになる。また何人もの兵が死んで、山河は荒れ果てる。それで君が満足出来るならこの世界なんて君が好きなようにすればいい。」
「……ガナッシュ…。」
「だけどそうじゃないんだろ?勝ちたいんだろ?だったら、その勝つべき相手が何だか教えてやる。」

そして、ガナッシュとキャンディはモギナスの魔窟へ足を運んだ。

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