タンドーリは大きな壷があちこちに置き去りにされていて、その周りをカエルグミがぴょんぴょんと跳ねていた。
余りの量に足を置ける隙間も無く、これじゃあクラインの居る所に辿り着くどころか、一歩も進めない。
「俺に任せるヌ〜。」
カベルネがカエルグミの方へ近づくと、さっきまであちこちに散らばっていたカエルグミが逃げて行き、1つの道が出来た。
「……何かの魔法?」
「魔法と言うより呪いヌ〜。俺の帽子に住んでるカエル師匠のだヌ〜。」
ふと気が付けば、カベルネが被っていた帽子の中に大きなカエルが居た。
実に顔付きが悪く、カエルだけじゃなくてもそのカエルには避けたいと思うだろう。
カエルグミ達を退かしながら少しずつ奥へ進み、ようやく最奥の部屋へ辿り着いた。
いくつかの壷が散らばってる中、どこから声が聞こえた。
「ダメだ………またやっちまった……。」
落ち込んだ顔でミエル達を通り過ぎたのはガスパッチョ村で見かけた緑色のポットだった。
さっきの言葉からすると、彼がクラインのようだ。
「あなたがクライン?」
「どうしたんだよ、何をやったんだ?」
「落ち込んでる場合じゃないヌ〜。どうしたのか話すヌ〜。」
「何をやってしまったか知らないけど、僕らに言ってみなよ。力になれるかも知れないよ。」
「どうせ、くだらない事でもしたんだろう?」
「どうしたの? 何か困ってるの?」
次々と自分に向けられる言葉に気付いたクラインはミエル達に振り向いた。
「ちょうどいい。実は、頼みがあるんだ……。俺は、空間をねじ曲げて自由に旅が出来るようなマシーンを作ったんだが、コイツは、ツボたちの思いをエネルギーにしてるんだ。
だが、ツボたちの思いはたいして強くねぇ。充分にエネルギーをチャージ出来ねぇんだ。」
さっきまで落ち込んでいたクラインは突然真っ直ぐにミエル達を見つめた。
「無念の思いが空間をねじまげ、在らぬ物を繋いでいる。だが、プレーンを超える程までは貯まらない……!………いでよ!!ツボゴーレム!!」
クラインが叫ぶと同時に、奥に置かれていた白い壷から鋭い目と4つの足が出てきた。
その壷、ツボゴーレムが立ち上がると、低い叫び声を出しながらミエル達を襲い掛かった。
「な、何だこいつは!?」
「おい、お前。何するつもりだ!?」
「戦え!!お前達の生きる意思で空間を切り刻め!!」
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