民家の地下は、ブラウニー達がキスニカ鉱山への道を作るために掘った洞窟、ブラウニーの穴だった。
ミエル達がその洞窟を歩く中、キルシュは少し不安そうな顔になっていた。
「…なぁ、大丈夫だよな。鉱山で何かに襲われたりとかしてない…だろうな。」
「さあね。でも、たとえそうだとしても、私達が助ければいいだけでしょ?」
「そう…だよな。」
少し安心した様な顔になるも、未だに全部の不安が消えた訳ではない。それはキルシュだけではなかった。
キャンディとオリーブが居なくなったのは、2人が何かに襲われてすぐだった。
それに、襲われて以来、キャンディの様子が明らかに変わっていた。彼女に何かあったのか考えると、どうも安心でいられない。
そんな思いに満ちて重くなった空気を、とある子が和ませた。
「皆〜!!元気がありませんのー!!友達に会いに行くのですから、もう少し笑いますの!!」
ペシュだった。いきなり大声で叫んだため全員が驚いたが、彼女は彼女なりに最善を尽くしているのだろう。
「…まあ、ペシュの言うとおりだな。んじゃ、元気出して行くか!」
「お…おう。」
「……。」
カシスに引きつられ、ミエル達はブラウニーの穴の出口へと向かった。
洞窟を抜け出すと、そこはエニグマの森に似たような森が広がり、洞窟の隣にはまた洞窟の入り口があった。
「ここが、キスニカ鉱山?」
「らしいな。んじゃ、気を引き締めて行くか。」
もたもたしてる暇は無い。ミエル達はキスニカ鉱山の中へと入って行った。
キスニカ鉱山の中はブラウニーの穴とは違って宝石でいっぱいだった。
床や壁にある宝石がキラキラと光るその洞窟はまさに宝の山だった。
だが、今はそれに魅入られている場合ではない。一刻も早くガナッシュ達を見つけなければいけなかった。
だが、洞窟の中は複数の道になっていて、何処を通ればいいのかさっぱり解らなかった。
「一つ一つ通ってみるのがいいかもな。」
「そんなの時間の無駄だろう!?キャンディに追いつけなくなるぞ!!」
「だからって手分けして探すわけにも行かないだろう?ここにもモンスター達がいっぱいいるんだぜ?」
キルシュとカシスの意見が衝突し、それをペシュとシードルが止める間、ミエルはただ洞窟を見回していた。
「おい、ミエル!!お前も何か言……」
「あっち。」
「……は?」
「あの道に行けばいい。」
「本当か?」
「ってちょっと待てよ!!そんなのどうやって…」
カシスの問いを聞くも前に、ミエルは自分が指差した道へ走って行った。
きっとキルシュ達には解らないだろう。ミエルに道を案内している小さな存在を。
「本当にここを行けばいいの?」
「ああ。じゃが、気をつけた方が良いかも知れぬぞ。あの小娘から、途轍もない程邪悪な気配を感じた。」
「……。」
美の精霊、パウダーが言う邪悪な気配。その気配の正体を何となく察するも、外れて欲しいとミエルは願った。
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