マジバケ小説 | ナノ


「さぁ、もう逃げられないわよ。覚悟しなさ〜い!」
「くっくっく……この時を待っていたぞ。お前は、このマッドマンの知り合いのようだが、運が無かったな」
「運がないのは、あなたの方じゃなくって? 私、この子達に魔法を教えてる先生なのよ。こう見えても、強いのよ」


その時、奥の方からまた声が聞こえた。聞き覚えのある2つの声。
エニグマが憑いたドワーフと、それを追いかけたマドレーヌの声だった。

「先生の声?」
「先生の匂いがするっぴ!!」
「急ぐぞ。」

声がした方へ走ると、互いに笑いあってるドワーフとマドレーヌが居た。

「くっくっくっく…! 少しは魔法を使えるようだな。だが、その己惚れが命取りだ。
お前は、このマッドマンの心を開かせるための生け贄になるんだ。
お前をじわじわといたぶり、こいつが、恐怖と悲しみとで心に隙を見せた時、俺はこいつと1つになる」
「能書きはいいから、ショコラを放しなさい。でないと、痛い目に遭うわよ。」
「教えてやろう……恐怖は、突然にやって来る。
例えば、お前の魔法が少しも効かないと解った時……やってみろ……最高のパワーで………この俺に力を示してみろ!!」

まずい。このままではマドレーヌがやられてしまう。そう判断した6人が彼等の近くへ駆けつけようとした時だった。
マドレーヌの指から白い光が出てくると、それは見る見る大きくなりドワーフを覆った。
しばらく経つと光は消え、さっきまで笑っていたドワーフは倒れたまま身動き一つしなかった。

「大丈夫? 生きてる?」
「…………ッ…。」
「いくらなんでも油断しすぎよ。こんな戦い方を見せるなんて教育に悪いわッ!行こう、ショコラ!」
「せんせー。トーリュフー。」
「あら、トリュフ。来てたの?」

マドレーヌが振り向くと、そこには自分を唖然とした表情で見ているトリュフ達がいた。
普段ボーッとしてる担任の先生があんな凄い魔法が使えたなんてあの光景を見てもトリュフ達は信じられなかった。

「先生、なんか、凄い魔法使いましたね?あれって、光の魔法?先生って、光系だったんだ。」

光の魔法は13属性の魔法より強い闇の魔法の唯一の弱点である。そんな魔法をあのマドレーヌが使った。彼女が強い魔法使いであると言う噂は本当だったようだ。何人かが感心する中、ピスタチオがピョンピョンと跳ねた。

「ショコラは無事だっぴか!?他の皆はどこだっぴ!?」
「あ!!そうだ!!ガナッシュ達が……!こんなとこでのんびりしていられないわ!
とりあえず、魔バスにもどりましょう!!」

マドレーヌがショコラを連れて火山から出ようとした。
が、まだ息があるドワーフが意識を取り戻すと、怒りが混ざった声で叫びだした。

「ちくしょーーっ!!」

ドワーフがダブハスネルに戻ると、ショコラの足を掴んでワープの魔法を唱えた。
だが、先程の一撃で体力を失い、なかなか上手くいかなかった。

「まだ解らないのっ!?」

マドレーヌがまた光をダブハスネルに放つと、今度は他のエニグマと同じように消滅した。

「ほんとにもう……バカなんだから。ま、しょうがないか………また次の人生で会えるのを楽しみにしてるよ。さよなら………。」

消滅したダブハスネルに別れを告げると、マドレーヌはいつもの笑顔になってトリュフ達の方へ振り向いた。

「それじゃ、先生はショコラと先に魔バスにもどってるね。皆も、寄り道しないで真っ直ぐもどってくるんだぞ。」

そして、マドレーヌはショコラと共にワープの魔法を使って魔バスへ戻っていった。

「マドレーヌ先生って、あんなに凄かったんだ……。」

今回は全員がキルシュの意見に同意せざるを得なかった。

 
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