マジバケ小説 | ナノ


悲鳴がした方へ駆けつけたミエル達は、目の前に倒れてるキャンディとオリーブを見つけた。

「キャンディ!!チビちゃん!!」
「どうしましたの!?一体何がありましたの!?」

後から来たマドレーヌは慌ててる生徒達とは違って落ち着いた態度でキャンディとオリーブを見ていた。

「大丈夫…死んではいないみたい…。」

ペシュ達を安心させるようにマドレーヌが言うと、遠くから足音が聞こえた。

「キャンディ!!オリーブ!!大丈夫か!?」
「!?ガナッシュ…!!」

マドレーヌの言葉を聞きミエルは足音がする方を見つめると、そこからガナッシュがやって来るのが見えた。
キャンディとオリーブの近くまで駆けつけたガナッシュを見るなり、ミエルの表情は険しく変わった。そして、

ぱんっ!!

予想する時間も与えず、ミエルはガナッシュの頬を叩いた。
突然の出来事にガナッシュはもちろん、ペシュ達も驚きを隠さなかった。

「何今更来てるの?」

ガナッシュを睨みつけたまま、ミエルは冷たい言葉を放った。

「あんたずっと一緒にいたんでしょ?2人がこうなる間、あんたはどこで何やってたの!!」

大声で怒鳴りだすミエルに、ガナッシュは何も答えられなかった。
何も言わず、ただ目を逸らしてるガナッシュを見て、ミエルはますます怒りが込み上がった。

「答えなさいよ!!」
「ミエル、やめろ!ここで喧嘩したところで事態を悪化させるだけだ。」

今にでもつかみ掛かりそうなミエルをカシスが止めたが、彼女の目は未だに怒りに燃えていた。

「子猫ちゃ〜ん……ありゃ?」

ようやくクラスメートのいる場所にたどり着いたカベルネはキャンディとオリーブが倒れた事に驚いたのか、
ミエルがガナッシュを睨んでる事に疑問を抱いたのか、間抜けな顔になったまま首を傾げた。
そんな中、意識を取り戻したオリーブが目を覚ました。

「……あ………先生……。」
「気が付いたヌ〜。」

弱弱しい顔で起き上がるオリーブに次いで、キャンディも目を覚ました。
キャンディはキョトンとした顔になって辺りを見回した。

「………あれ………?皆………。どうしたの………?」

キャンディの悲鳴を聞いて駆け付けたクラスメート達は気を抜かれた。

「それはこっちのセリフだよ。お譲ちゃん。」
「いったい何があったんだ?オリーブ。」
「解らない……急に襲われて……気が付いたら、皆が…。」

襲われた?見たところ2人とも怪我をした様には見えない。
全員先程来たばかりだが、襲った物らしき存在もその痕跡も見当たらない。いったい、何にどう襲われたと言うのだろうか?
そう皆が考えてる中、キャンディは虚ろな目でただボーッとしていた。

「キャンディちゃ〜ん。だいじょ〜ぶヌ〜?目が据わってるヌ〜。」
「私………いったいどうしたの………?」
「先生の目を見て。キャンディ。」

キャンディがマドレーヌの目を見つめてる中、オリーブがキャンディに恐る恐る聞き出した。

「覚えてないの……?」

ガナッシュの目的を聞くためにオリーブを呼んだ事。
突然、黒い何かが自分達を襲った事。その記憶がキャンディの中から無くなっている様だ。
ずっとキャンディの目を見ていたマドレーヌは複雑な顔になった。

「………心を閉ざしてる………。」
「なんで分かるヌ〜?? 先生も人の心が読めるヌ〜??」
「魔法使いなんだぜ〜。そのくらい当然だろ〜? 俺だって読めるぜ、人の心くらい。
でも空気が読めないんだな〜。場の空気が分かんなくてさ〜外しちゃうんだな〜はっはっはっはー。」
「黙れチビ。」

全く今の状況を理解してないセサミがふざけた態度で話すと、トリュフが彼を睨みながら呟いた。

「キャンディ。今度は私を見て。」

ミエルがキャンディの手を掴んで顔を自分に向けるようにさせた。

「何だ?ミエルも読めるのか?」

勿論、ミエルは心を読めない。そもそも彼女が見てるのはキャンディの目ではなかった。
紫色の目はキャンディの周りを見回し続け、そして一箇所でようやく止まった。
その目に映った物を見てミエルは目を見開いた。ぼんやりとしか見えないそれは……。

「た――――け――――て――――す――――。」

突然、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。まだ合流出来てないクラスメート、ショコラだった。

「ショコラちゃん!!たけてすじゃありませんの!!助けてですの!!」
「んな事言ってる場合か!」
「全く、どうなっているのか、闇のプレーン。僕らの胸の中にまで闇の帳を落とす気か〜い?」
「先生、オリーブとキャンディを頼みます!ショコラは俺が助けてくる!」

咄嗟にガナッシュがショコラの声がした方へ走り出した。

「俺も行くヌ〜!!」
「待って!!私も!!」

カベルネとオリーブが走り出すと、ぼーっとしていたキャンディはハッとした。

「あっ…!!私も…!!」

そして、キャンディもふらふらしながら走り出した。

「キャンディ!!待ちなさい!!あなたまで行かなくていいの!!」

マドレーヌまでガナッシュ達を追い、またもやクラスメートと離れ離れになってしまった。

「私達も行こう。」
「そうですの!!ショコラちゃんを助けに行きますの!!」

そして、ミエル達もガナッシュ達を追って走って行った。

 
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