マジバケ小説 | ナノ


ツリーマンの集落、クガンデ村を通り抜け、東の方にある森にガナッシュ達が歩いていた。
エニグマを利用して帰るつもりだったのに、いつの間にかそこから抜け出し、何処に行くのか解らずただ進み続けていた。
すると、キャンディが突然足を止めた。

「ねぇ、オリーブ…ちょっといい?」
「私…?」
「すぐ終わるから。」

キャンディが通って来た道を戻ると、それに付いて行く様にオリーブは駆けつけた。

「女の子だけで内緒の話ヌ〜。」

呑気そうな声を出すカベルネ。
すると、どこから獣が叫ぶような声が聞こえた。ちょうど自分達の目の前のほうから。

「!!!」
「何か来る…!」

2人だけがその場所にいることを確認し、キャンディはオリーブに背を向けたまま問いかけた。

「ねぇ、ガナッシュは何処に行く気なの? 何をするつもりなの?」
「分かんない…。どうして私に聞くの?」
「嘘よ…。私、カベルネから聞いたのよ。あなた、人の心を読めるんでしょ?」

キャンディはオリーブを睨みつけ冷たく言葉を放ったが、何も言えなくなったオリーブを見てキャンディは驚いた顔になった。

「本当だったのね…? 信じられない…。」
「全部じゃないよ!ほんの少しだけ!」
「全部じゃないにしても、少しは読めるってこと!? じゃあ、ガナッシュが何処に行こうとしてるか教えて! どうしてガナッシュは私たちに何の説明もしてくれないの!?」
「そんなに怒鳴らないで…悲しくなるから…。」
「ズルいよ…2人だけ目的を知ってるなんて。私とカベルネは、引きずり回されてるだけなのね!?」

自分達もガナッシュと一緒にいるのに、目的を知ってるのはガナッシュとオリーブだけ。
まるで仲間はずれにされたような疎外感、何も教えてくれないオリーブへの怒り等の感情がキャンディから溢れ出ていた。

「ごめんね、キャンディ。私にも全部は解らないの!ただ、ガナッシュはお姉さんを助けたいって、それだけを考えてるの。」
「姉さんを?どう言うこと?助ける?さっぱり分かんない!」

ガナッシュの姉のヴァニラは確か行方不明になっている。
キャンディにはオリーブの言葉の意味が理解できなかった。

「彼のお姉さん、捕まってるみたいなの。大きな城の中に…何重にも兵士が取り巻いて…。」
「捕まってる…? 助ける…? どう言うこと…?兵士が何重にも取り巻いてたら近付けもしないわ!」
「エニグマと融合すれば……兵士の100人や200人……」

微かに聞こえるオリーブの言葉を聞いてキャンディは驚きを隠せなかった。

「冗談でしょ!!それだけのこと知りながら、なんで止めないのよ!!オリーブはどうして何も言わず付いて行ってるだけなのよ!!」
「だって……それは……。」

何も言わないオリーブを見て、キャンディは目を顰めた。

「私があなたのこと嫌いなの知ってた?」
「………知らないよ……そんなこと知りたくない…本当は私だって、人の気持ちなんか、解りたくないよ!」
「大ッ嫌い。あなたは何でも知ってるのよ!私の気持ちも、ガナッシュの気持ちも、全部知ってるんだわ!」

それからすべての音が消えた。
すると、どこから不気味な声がキャンディとオリーブの近くから聞こえた。
どこから出て来るのか辺りを見回すと、突然黒い何かが2人に襲いかかった。

正確には、1人に……。

to be continued……

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