「グラン・ドラジェ……どうして、こんな私に、この子らを任せたんですか……?」
成長していく生徒達とは違い過ぎる自分。
そんな自分にどうしてこの生徒達を任されたのか、今の彼女にはよく解らなかった。
すると、突然シードルがマドレーヌに声を掛けた。
「要するに、エニグマの誘惑に負けるなって言いたいんでしょ?
エニグマと融合すれば、凄い力が手に入るけど、そんな誘惑に負けるな! 自分の魔力で打ち勝て!ってね。」
「……うーん。半分くらい当たってるかな。」
「半分で50点だ、シードル。落第だな。」
自信満々で言ったのに半分しか当たってないと言われ、シードルは複雑そうな顔になった。
「私達、大丈夫ですの!!心配は要りませんの!!」
「ガナッシュ達がどんどん先に行っちまうぜ〜。」
「ゴクッ…………。」
どんなに危険だろうと自分達なら大丈夫だ。そう言ってる生徒達がマドレーヌはとても強く感じた。
本の少し考えると、笑顔を浮かべて生徒達を見つめた。
「いいよ、好きにしな。」
「やった―――っ!! 先生大好き――っ!!」
「だーい好き――っ!!」
自分達を信じてくれた先生の言葉を聞いてシードルとミエルはマドレーヌに抱きついた。
そんなミエルをトリュフがマドレーヌから引き離した。
「あんまりくっ付くな。ボンヤリした態度がうつるぞ。」
「あら?トリュフいたの?」
「今頃気付いたのか……。」
最初からずっと近くにいたのに全然気付かれてない事にトリュフは呆れた。
だが、そんなトリュフを見てマドレーヌは笑顔になった。
「うふふ、やっと会えたのね。」
「……。」
「ん?会えたって何の事だ?」
「あら?言ってなかったの?この2人、双子なのよ。」
『……え?』
「………。」
マドレーヌの言葉を聞いてほぼ全員が驚いた。その中でもミエルは目を見開いたトリュフを見つめていた。
「ちょっと待て!お前等、双子だったのか!?」
「言われてみれば似てますの!!でも、どうして教えてくれなかったですの!?」
「……知らなかった。」
「知ってても、聞いても無い事をいちいち答える必要は無いだろう。」
「お前なぁ…。」
面倒そうに語るトリュフを見てカシスは呆れた。
「うふふ、いいじゃない。トリュフも一緒にガナッシュ達を探しに行く事で。
その代わり、皆揃ったらすぐに学校へ戻るんだぞ!」
「OK!承知の上さ!」
そして、ミエル達はマドレーヌと一緒にガナッシュを探しに行ったのだった。
「ところでさ。お前等どっちが上なんだ?」
「俺が生まれて数分後にミエルが生まれたから、俺の方が兄になる。」
「確かに、今までのトリュフの事を考えるとお兄さんて感じだもんね。」
「て事はよ。ミエルは実の兄に恋に落ちたって事か?」
「………。」
「でも凄いですの!!離れ離れだった兄妹の再会ですの!まさに家族の愛ですの!!」
「デモ、ナンデジョウチャンハシラナカッタンダ?ナニカジジョウデモアルノカ?」
「さあ……。」
「………。」
この2人が双子なのは解ったが、何故その事をトリュフは知っててミエルは知らなかったのか、今は謎のままだった。
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