マジバケ小説 | ナノ


ようやくシードルとカフェオレがアラクネイラを倒し、残りはラドハスネルだけとなった。
先程の攻撃で体力が失い、四方八方が敵。今の自分には不利な状況だった。

「チェックメイトだな。」
「チッ。強気になるな。どんなに歯向かおうと、勝つのは闇のみだ!」
「うわぁ〜まだ言ってるよこいつ。」
「負けてるのにねぇ〜。」

挑発するように言っても、今の魔法使い達には単なる負け惜しみにしか聞こえなかった。
そんな中、ラドハスネルの周りをバズが飛び回り続けていると、大きな蝶が目の前に現れた。

「俺、どうかしてた。俺達だけでも倒せたお前と融合しようとしてたなんてさ。」

セサミの言葉が終わったと同時に、蝶が紫色の粉を撒き、やがてラドハスネルも消滅した。

「セサミ、ナイス!!」
「イェーイ!!」

すべてのエニグマが消え、ミエルとセサミはハイタッチをした。

「セサミちゃん!!グッドな選択ですの!!力より自由ですの!!自由は愛ですの!!」
「何じゃその解説?」

ペシュの言葉に呆れるカシス。恐らく、残りの5人も理解できなかっただろう。

「……さっきは、すまなかったね。君って、何を言われても堪えないんだって思ってたから、つい言い過ぎちゃった。」
「言い訳になってねぇよ……。」

全くだ。顔は反省してるようだが、内容は完全に人をバカにしてる。

「イイノカ、イイノカ〜?エニグマトユウゴウシテ、オレタチヲケチラスンジャナカッタノカ〜!?」
「弱くてもいいんだ!!だって、俺はもうちょっとでエニグマと融合するところだったんだぜ!!
その気になれば、世界なんて滅ぼせたんだぜ!!ってことは、ある意味俺は世界を救ったんだ!!そう言えなくもないだろ?」
「そうだね。弱くてもいいって言うのは、ある意味、強さでもあるよね。」
「出た。お得意の言葉マジック。注意して聞いてないとはぐらかされるぜ〜。」
「意地が悪いなぁ〜。僕もエニグマと融合したいよ。」
「そんな事言わないの〜。」

互いに茶化すシードルとカシスも、子供のような顔で笑うミエルも、今は普通の学校にいる時のようで、7人の気持ちは和んできた。

「それでは元気よく次のステップに進みますの!次はショコラとガナッシュ達を探しに行きますの!元気よく行きますの!」
「ムスクさんの話だと…エニグマの森の先にツリーマンの集落や、こんにゃく様の村があるらしいぜ。」
「ならそこで何かわかるかも知れないね。」
「んじゃ、先へ進もうぜー!」

エニグマの森から出て行くカシス達を余所に、トリュフはただそこに立っていた。

「トリュフ…君?」

恐る恐るトリュフに声を掛けるミエル。トリュフは眉を顰めた。トリュフの赤い右目を、呪われた目をミエルに見られてしまった。
未だに自分を見ているミエルにトリュフは視線だけを向けた。

「……怖いか?俺の事。」
「……。」

トリュフの問いにミエルは首を横に振った。

「トリュフ君は、いつも私の事助けてくれた。だから、怖くない。
でも、トリュフ君は大丈夫なの?その目のせいで、辛い思いしてない?」

トリュフは目を見開いた。この目を見ても怖がらず、自分の事を心配してくれるとは思えなかった。
それも、自分が一生守ると誓ったこの少女が。
やがてトリュフはミエルを抱きしめた。余りにも唐突な事にミエルは顔が赤くなった。

「と、トリュフ君!?」
「大丈夫だ。どんな事があろうと、俺はお前を守り続ける。もう二度と、お前を1人にはさせない。」
「……トリュフ君?」

「おーい!早く来いよ、置いて行くぞ!!」
「ああ。今行く。」

2人は遠くへ行っていたカシス達の所に行き、7人はエニグマの森の奥から入ってくる光に向かって歩き出した。

to be continued……

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