洞窟の中はかなり涼しく、砂漠での暑さが全部吹き飛んでいくようだった。中にいる筈のメースの所に行く中、シードルが声を掛けた。
「ねぇ、みんな。ここにいるヴォークスの少年って、マサラティ村のメースだよね?
彼のために何かしてあげたいと思わない?」
シードルの提案に全員が納得した。メースは自分たちとは違って魔法が使えない。一人旅は流石に危険だろう。
「でも、何かって?」
「そうだな………オンボロだけど、この機械でもあげるか?」
そう言うとカシスはその機械のある方へ振り向いた。
「エッ!?ソレハッ………!!」
カシスの提案にカフェオレがおののいた。だが、話は着々と進んでいる。
「それ、いいね!1人で旅するのって危険が多いからね。」
「まあ、どこかに捨てるより、必要な人にあげるのがいいかもな。」
「ミエル、どう思う?あげてもいいよね?」
シードルはミエルに振り向いて聞いた。だが、彼女もカフェオレのようにショックを受けた顔になってる。
「だ、だ、駄目に決まってるでしょ!?カフェオレは私達の友達じゃないの!!それなのにあげるなんて!!」
ミエルの言葉を聞いたカシスとシードルは互いに顔を見合わせ、急に大きな声で笑い出した。
「な、何??」
「カフェオレのことじゃねぇぜ。マジックドールだぜ?いいじゃん、拾ったもんだし。」
「……え??」
そう。カシス達が渡そうとしたのはトリュフが拾ったマジックドール。それをこの2人はカフェオレを渡すのだと勘違いしていたのだ。
「エ?マジックドール?アッハッハッハッハ〜!オ〜ケ〜オ〜ケ〜ナンニモ、モンダイナイ!
マジックドールノイチダイヤ、ニダイクレテヤロウジャナイノ!」
渡すものがマジックドールのフラウンダである事が知ったカフェオレは一気にテンションが上がった。
一方、ミエルは気まずそうに目を反らしている。
「あれ〜?もしかして、僕達が本当にカフェオレを渡すとでも思ったの?」
「……。」
からかうようなシードルの言葉にミエルは顔が真っ赤になった。
「すんごい顔してたな。」
「『駄目に決まってるでしょおお!!』てね。」
「ッ!!!バカァ!!バカバカバカバカバカバカ!!」
湯気が出るほど顔が真っ赤になったミエルはシードルをボカボカと殴り続けた。
途中でトリュフがミエルを引き離したが、ミエルは後ろから抱かれたまま暴れ続けている。
「まあとにかく決まりだね。メースに会ったら、マジックドールをあげよう。」
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