マジバケ小説 | ナノ


化け物のような形をしてる魔バスに乗ると、クラスメート何人かが話をしていたり、お菓子を食べていたりしていた。
その中でもキャンディは隣に座っているアランシアからいろいろな事を聞こうとしている。

「2人とも何話してるの?」
「あっ、ミエル!!」

キャンディはミエルに気付くなり彼女に耳打ちをした。

「(ほら、禅部屋で話してたでしょ?キルシュの告白の話。)」
「(あ〜そう言えば。海岸でするって。)」
「(だから、アランシアはどう思ってるのか聞きたくて。)」
「(ほうほう〜。)」

本当の告白の相手が自分である事も知らずにちゃくちゃくと話を進めたがるキャンディ。
こんな彼女に思いを寄せているキルシュが哀れなものだ。
2人だけが聞こえる会話が終わると、ミエルは2人の隣にある空席へ座った。

「えー、おほん。」

いつの間にいたのだろうか?ミエルを含めて14人の生徒がいるバスの前に1人の老紳士が現れた。

「うわっ!!どっから出たヌ〜!?何者だヌ〜!?」
「何者は無いでしょ…。」
「校長のグラン・ドラジェですの!」

カベルネの驚きっぷりにミエルとペシュが呆れ、当の本人はそんな事を気にせず咳をすると、こんな事を言い出した。

「えー、皆さんにお話があります。今回のキャンプは皆さんの魔法の力を見抜くテストでもあります。
したがってキャンプ途中で音をあげて帰ってきたりした人は……その場で退学!この学校から去ってもらいます!」

その後どれぐらいの沈黙が流れたのやら。それを破ったのは今一番成績に敏感なピスタチオ。

「何でだっぴ〜〜!!」
「何か事件が起きた時、マドレーヌ先生は『もう帰りましょう』なんてことを言うかもしれませんがそれは罠です。
その言葉にさそわれてノコノコ帰って来た人は退学です。」

校長の言葉が終わると再び沈黙が続いた。
たかがキャンプの途中で帰ってきたら即退学だと言うとんでもない事を宣伝されたら誰もが言葉を失うだろう。
そんな中、遠くからマドレーヌが大きな岩男ショコラ・クラックスを連れてバスの中へ入って来た。

「あら、校長先生。いつの間に…?」
「ぎくっ!!それじゃ、わしはこれで!!楽しいキャンプをッ!!」

不思議そうに見てるマドレーヌにグラン・ドラジェは焦り、とても老人とは思えないほどのスピードでバスから逃げていった。
そんな校長先生をマドレーヌは首を傾げて見つめるばかり。

「これでみんな揃ったかな?」
「先生!!ガナッシュが来てません!彼、休みなんですか!?」

バスの中に居ないガナッシュ。この臨海学校で彼がいない事がまるで大問題であるかのような大声でキャンディが叫んだ。

「私、探してきます。」

ガナッシュとはいつも一緒にいるオリーブが立ち上がると、それに負けないようにキャンディも立ち上がった。

「あっ、私も!!」

2人がバスから降りるとマドレーヌが2人で行く必要は無いと止め、キャンディは一瞬戸惑ったようだがオリーブはキャンディを見つめるとまた走って行った。

「あっ、オリーブ!!」

キャンディが呼び止めてもオリーブの姿はどんどん小さくなり、やがては見えなくなった。
それをキャンディは唇を噛みながらただ見つめている。


 
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