ほとんどの人が眠る夜、トリュフは外で星空を見ていた。
空に向かってるその目は星ではない別の物が映っている様だった。
小さい少年と少女がテーブルの上でおいしそうにケーキを食べていた。
ハチミツと生クリームがたっぷり掛けられたシフォンケーキを。
「おいしいねぇ〜。」
「来年もまた作ろうか。」
「うん!!」「寂しいギャ?」
考え事をしていたトリュフの目の前にニルヴァが現れた。
「…まあな。」
「しょうがないギャ。お前との事は全部忘れてるギャ。あいつとずっと一緒にいた奴もそう言ってるギャ。」
「今はそれでいい。いきなり全部思い出せば、また傷つくだけだ。」
「本当にそれでいいギャ?本当は思い出して欲しいんじゃないギャ?」
「どうだろうな…。」
宿屋の壁に身を寄せ、トリュフは目をつぶった。
何も知らないまま眠ってる少女をある男性が抱え、外へ出ようとした時だった。
「待って!!行かせないで!!」
少女と同じ年に見える少年が男性にしがみついたまま泣き出した。
「放しなさい。この子は、ここに居てはいけない。」
「嫌だ!!離れたくない!!そいつを1人にさせたくない!!」
「今は我慢しなさい。いつか必ず会える。その時が来るまでのしばしの別れだ。」
その言葉を最後に、少女を抱いた男性は遠くへ行ってしまった。「…俺は、正しかったのだろうか?」
「それを決めるのはお前じゃなくてあいつだギャ。」
「…そうだな。」
小さく笑みを浮かべ、トリュフはもう一度星空を眺めた。
「もう、同じ失敗を繰り返したりはしない。もう二度と、あいつを1人にはさせない。」
to be continued……
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