マジバケ小説 | ナノ


些細な会話で賑やかになった晩御飯も終わりを告げ、他の皆が話す中、ミエルは冷蔵庫から何かを取り出した。
丸くて、真ん中にぽっかりと穴が開いたシフォンケーキだった。

「持ってきたよ〜。」
「わぁい!!ケーキですの!!」

ミエルがケーキを切って他の皆に分け、皆は美味しそうにそれを食べていた。

「でも、何でシフォンケーキなんだ?好きなケーキって、主にショートケーキとかチョコレートケーキとかが多いだろう?」
「うーん…どうしてなのかな?何故かシフォンケーキを食べると幸せになるの。特にハチミツ入りが。」
「何か思い出とかありますの?」
「それは違うと思う。だって誕生日ケーキにした事なんて無いし、お母さんと一緒に作った事も無いし。」

ミエルの話を聞いていたトリュフが眉を顰めた。

「何でお前がご機嫌斜めなんだよ?」
「別に。それより、明日は砂漠に行くんだ。そんな暑苦しい格好でいいのか?」
「いや、お前が言っても説得力ねぇよ。」

砂漠はかなり暑い。厚着で行けばバテる事もあり得る。
けど、どっちかと言うとトリュフの暗緑色の服の方が一番暑苦しかった。

「特にお前、そんな密着した服でいいのか?」
「え、私?」

トリュフが指摘したミエルの服はピンク色のローブと青いタイツである。
確かに密着してはいるが、暑苦しいと言えるのだろうか?

「で、でも……。服これしか無いし…。」
「……待ってろ。」

トリュフは自分のベッドに戻ると、カバンから何かを取り出した。

「これ着ろ。」

そう言ってトリュフはミエルに自分が持ってた服を投げた。
渡されたのは、オレンジ、黄色、そして水色が混ざったアラビア系衣装である。

「うわっ!!何だこれ!?お前こんな趣味あったのか!?」
「母さんのお古だ。変な誤解すんな。」
「いや、変でしょ?女性の服を持ち歩いてたら。」
「ともかく、明日はそれ着な。今着てるのよりは涼しいだろう。」
「……うん。」

トリュフに渡された服を見ながらミエルは顔が赤くなった。

「着てみたらどうですの?」
「え?」
「お、いいね。着てみて小さかったら困るだろう?」
「…うん。」

服を持って洗面所へ行ってから数分後、着替え終わったミエルが出て来た。
キラキラと輝く服の色がミエルのブロンドヘアとマッチして、まるで太陽の光の様だった。

「おお!似合うじゃん!」
「そ、そう??」
「今日からそれ着れば?悪くないよ。」
「うーん、そうしようかな?」

ミエル達が話す中、着替えたミエルを見ていたトリュフは微かながらも笑みを浮かべていた。

 
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