マジバケ小説 | ナノ


やっと事が済んだとほとんどの人が思ったときだった。

「ふざけんなーー!!俺の事はまた知らんふりかよーー!!」

いつの間にかその辺に横たわっていたセサミが起き上がると、何を言うかと思えばこんな事だった。
怒りで顔が真っ赤になってるセサミを、年上のクラスメートが睨みつけた。
光のプレーンで虫に夢中になってる内に闇のプレーンに連れ去られ、今度は誰かの言いなりになってどーどーを狩っている。
クラスでは最年少だが、セサミがやった行動は決して許される事ではなかった。

「やっていいことと悪いことがあるんだぜ、セサミ。ちゃんと解ってんのか?」
「ムスクさんは、俺がエニグマに追いまわされてる時に助けてくれたんだ!!
お前ら、俺がエニグマに連れていかれた時、何もしてくれなかったじゃないかーー!!」
「私達は悪くありませんの!!セサミちゃんが虫ばっかり追いかけてるからですの!!」
「そこにあった虫追っかけて呼んでも気付かなかったんだろう?お前が悪い。」
「セサミの目は、虫の目なんだよ。周りのことなんて、何も見えてないのさ。」

シードルの言葉にセサミの堪忍袋が切れた。

「虫を馬鹿にするなーー!!」

少し違った方向へ怒りだした。勿論、シードルはそんなつもりで言ったのじゃない。
全く理解してないセサミにシードルも怒鳴りだした。

「虫を馬鹿にしたんじゃないの!君を馬鹿にしたの!」
「もういいよ、行くぜ。セサミももう、1人でいるのは懲りただろ?」
「うるさーーい!! お前らなんか、エニグマと融合して捻り潰してやるーー!!」
「待てよ!!セサミ!!」

怒りが頂点に至ったのか、セサミはクラスメートが制しても振り向かず、リギニオ密林から出て行った。

「………」
「シードル、サッキノハイイスギダッタナ。」
「…………つい思ってること全部言っちゃった…………まずかったかな………。」
「過ぎたことさ。しょうがないよ。信じよう。」
「セサミ、本当にエニグマと融合するつもりかな?」
「分からねぇ。とりあえず、文鳥の退かし方を覚えて、エニグマの森へ向かおう。」
「ブンチョウノドカシカタヲシッテルヤツハ、サバクニイルンダロ?
ダッタラ、マズムスクニサバクノアルキカタヲキカナイトダメダナ。」
「ああ、そうだな。俺達も行くか。……ミエル?」

密林から出て行こうとする中、トリュフがミエルを呼んだが、ミエルはココアと一緒にいた所に座ったままボーッとしていた。
目の前で身動きもしないフェンネルを見てるその目は焦点を失ってる様だった。

「ミエル。」

トリュフがミエルの肩に触れると、ミエルはようやく正気に返った。

「戻るぞ。」
「あ…うん。」

未だに座り込んでるミエルを起こし、トリュフ達はネクターとココアに別れを告げた。

「蛍ちゃーん。出てきて下さいですの!」
「だからホタルはあんなにデカくないって。」
「狐火ちゃーん。」
「やめなよ。怖いよ。」

ペシュは密林を出る間、彼女達をネクタルのいる所まで導いてくれた光を探していた。
確かに密林は今も暗く、明り無しでは到底出られそうにない。
ホタルはともかく、狐火と呼ぶのはどうかと思うが。

「好き勝手言ってるなあいつ。」
「しょうがないよ。いきなり出てきたんだから。」
「お前は何とも思わないのか?」
「何とも…って?」
「……いや、やっぱいい。」

何か言おうとしたのをやめ、トリュフは先へ進んだ。
どうやらミエルは気づいていないようだ。

ペシュが探しているその光が、ミエルの身体の中にいる事を。

to be continued……

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