マジバケ小説 | ナノ


カシスとシードルが森から帰ってくると、いつの間にかペシュが宿屋に出て行った。

「ふぅ。やっと喧嘩しなくなりましたの。」
「一体、何をどうしたんだ?」

3人が話をしている刹那、 店のドアが『バン!』と音を出しながら開くと、ミエルが物凄いスピードで東の森へ走って行った。
買ってきたカエルグミ等を入れた袋が落ちているのも知らずに。

「?どうしたんだ?」
「何だか…凄く焦ってるように見えますの。」

森の中へ姿を消したミエルを見送る中、宿屋からトリュフが出てきた。

「何そこでボーッと立ってんだ?」
「あ、トリュフちゃん。今ミエルちゃんが森に行ってたのを見た所でしたの。」
「ふーん………ん?今何て言った?」
「いや、だから、ミエルが森に行ったのを…」
「あいつ、1人で行ったのか?」

さっきまで何とも思わなさそうにしてたと思いきや、急に問い詰めだしたせいで3人は思わず慌てた。

「ま、まあ、そうだけど……別に大した事じゃあ…」
「バカかお前等!!あいつを1人で森に行かせやがって!行くぞ!!」

いきなり大声で怒鳴りながら森へ走るトリュフ。仕方なく3人は宿屋で寝てたカフェオレを叩き起こして森に行かなければならなかった。

フェンネルを連れて東の森に行ったムスクを付いて行ったミエルは、彼等から少し離れてる所にある木の後ろに隠れた。
彼らが行ってる所には小さなほこらの様な場所がある。そして、そこからある人物が出てきた。

「何者だ!!」

出てきたのは、光のプレーンで一瞬だけ出会って、ペシュがあんなに探していたネクターだった。

「おおっと……。それはこっちのセリフさ。君こそ村では見かけない顔じゃないか。こんなとこで何をしてるんだい?」
「俺はこの先の地底ジャングルを守っている。用が無いなら帰れ。」
「そんな風に言われなくても帰るよ。今度、村へ遊びに来なよ。君とは話が合いそうだ。」

話を終えたと判断したのか、ネクターは眉を顰めながらほこらの中に入っていった。

「チッ。顔を覚えられた……。このまま行くわけにはいかないな………。そうだ!!」

ムスクはフェンネルを連れ、何故かタピオカティ村に戻って行った。木から姿を現したミエルは、ほこらの入り口を見つめた。
エアが話していたムスクと店長の話。彼が行こうとしたほこらにネクターがいる。ムスクが探してる薬の材料が何なのか予想が出来た。
突然、後ろから誰かが自分の肩をたたき、振り向けば森に居たはずのカシスがいた。まあ、ここも一様森なのだが。

「急に走り出すと思えば、こんな所にいたのか?」
「あ、カッシー。どうしてここに?」
「いや、トリュフに無理矢理連れてこられてさぁ。」
「……トリュフ君が?」

トリュフが自分を追いかけて来たことを聞いて顔が赤くなるミエル。しばらくして、後から他の皆も追いついて来た。
叩き起こされたカフェオレは非常に不満そうにガションガションと音を鳴らしてる。

「でも、どうしてこんな所に?」
「えと、実は……」

ミエルは道具屋でエアが聞いた話、ムスクとネクターとの会話、そのネクターの所にいるのをムスクが狙ってる事等をカシス達に話した。

「大変ですの!!止めに行きますの!!」
「はあ。しょうがないな。」

結局、ミエル達はネクターのいるリギニオ密林に行かなければならなかった。


密林は完全に光が遮られていて、まるでこの場所だけ夜のように真っ暗だった。
入り口に入ってすぐに複数の道が分かれていた。これじゃあ、行くのはもちろん、後で帰る時に問題だ。

「どこに行けばいいんだろう?」
「暗すぎて何も見えませんの。」
「なあ、やっぱり帰ろうぜ。こうしてる間に、砂漠を渡れる時期になるかも知れないだろう?」

確かに、いつまでももたもたする訳には行かなかった。
いつになるかは解らないが、カフェオレも 砂漠を歩ける時間になるまでは密林から出なければならない。
だが、砂漠の歩き方を知っているムスクがここに居る何かを狙っている事を知った以上、ただ見てる訳にはいかなかった。

「焦らないでください。焦れば焦るほど、見えるものが見えなくなりますよ。」

宥めるような優しい声がミエルの耳元に囁いた。今まで聞いたときよりもずっと大きくて聞こえやすい声。

「道と言うのは、意外と近くにあるのです。ある物を何かが隠してるならば、それを退かせばいい。
お見せします。暗闇に隠された道を。」


すると、ミエルは体から何かが出てくるような感じがして、気が付けば小さな光が彼女達の周りをふわふわと飛び回っている。

「蛍ちゃんですの!!」
「どっから出てきたんだ?」

急に出てきた光に驚くペシュ達。その光は遠くへ行き、しばらくしてある場所で止まった。

「あ、皆!あれを見て!」

シードルが指差した所には、光が止まった場所にはいくつかの足跡があった。
何度も通ってきたせいなのか、そこから草は生えることは無く、湿った土だけが残っていた。

「ネクターって奴の足跡か?」
「じゃあ、これを辿って行けば。」
「行きますの!!ネクターちゃんの所に!!」

密林に出来た足跡を辿って、5人は地下の方へ向かった。光の居る場所まで辿り着くと、また遠くへ行ってしまう。

「この蛍ちゃん。私たちを案内してるみたいですの。」
「これ、本当に蛍なのか?普通のよりデカイ気がするが。」
「アッ!マタイッチャッタ。」
「蛍ちゃあん!待ってですの!!」

遠くへ行く光を追いかけながら5人は最下層へと向かった。

 
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