マジバケ小説 | ナノ


ムスクが言う、砂漠を渡れる時期が来るまでミエル達は宿で休む事にした。
村もかなり暑いらしく、宿屋に入るなりカフェオレはベッドに横になった。

「フア〜。イキカエッタゼェ。」
「全く、こんな時に足手まといになりやがって。これだから機械は嫌いだ。」
「ツメタイコトイウナヨ。オレダッテ、スキデコダイキカイにナッタンジャナインダカラ。」

機械を扱うのが苦手なトリュフにとって、カフェオレの体質は実に面倒なものである。
今持ってるマジックドールもその辺にあったのを拾ったもので、もし戦闘に役立たなかったら今頃どこかに捨てただろう。
ベッドの上で2人が言い争う中、ミエル達も自分達の時間を過ごしていた。

「そう言えば、タピオカティ村って、ネクターちゃんの故郷じゃありませんの?」
「あ、そうだった。でも、ここに居ないね。」
「きっと、今もどーどーを保護しに行ってるはずですの。」

光のプレーンで会ったニャムネルトの少年、ネクター。彼もまたこのタピオカティ村からやって来たのである。
そんな彼の村に来てるとは、やはり世界は広そうで狭いものである。

「そう言えば、ココアちゃんと言ってましたの?病気みたいですの。」
「そうね。」
「何だか心配ですの。行ってみますの!!」

ペシュに連れられ、2人はムスクの家にやって来た。

「あら、どうしましたの?」
「私達、ココアちゃんが心配で来てみましたの。大丈夫ですの?」
「あ、ありがとうございます。」

ココアはミエル達を中に入れた。
お医者さんの家だけのことはあって本がたくさんあり、テーブルの上にはココアが飲んでいた薬らしき物があった。

「ココアちゃん病気ですの?」
「ええ…少し。」
「きっと、すぐ治るよ。ちゃんと薬飲んだらね。」
「そう…ですね。」
「早く治るといいですの!!」
「ありがとう。」

小さく微笑むココア。そんな彼女の微笑が悲しく感じるのは気のせいなのだろうか?
ミエルはコップのほうへ視線を向くと、少し面白い光景が目に映った。
まだコップの中に残ってる液体を飲もうと、エアが頭を突っ込んでいる。
だが、しばらくしてエアはコップの中にある液体の中に落ちてしまった。

「助けてなのぉ!!」
「…やれやれ。」
「?どうかしたんですか?」
「ううん。何でもない。」

ココアとペシュが自分を見てないのを隙に、ミエルはコップからエアを取り出した。
赤い液体が全身に付いてるエアはまるで血まみれのようだった。

ムスクの家から出ると、宿屋にいた筈のカシスやシードルが面倒そうな顔で立っていた。

「何やってるのそこで?」
「あ?ああ、ミエルとペシュか。あの2人がまた喧嘩してよー。」
「ポンコツだの、チビだのって。うるさくてしょうがないよ…。」
「また喧嘩してますの!?喧嘩なんて駄目ですの!!叱りに行きますの!!」

ペシュは物凄い勢いで宿屋の方へ走って行った。2人に巻き込んで騒ぎを起こさないといいのだが。

「そう言うミエルはどこ行ってたんだ?」
「ココアのお見舞い。もう済んだから今から道具屋に行く所。」
「そっか、俺達はこれから森の探検に行こうとしてるんだ。」
「はぁ!?ちょっと待ってよ!!僕は行くって一度も……」
「事が済んだらミエルも来いよ。」
「うん。」
「話聞いてる!?」

カシスとシードルと別れ、ミエルは 店に向かった。 店に行くと、大きな獣みたいなのが門番をしてるかのように立っていた。

「ぐるるる。」

ムスクが飼っているフェンネルだった。ムスクも何かを買うために店に来たのだろう。
頭を撫でて大人しくさせた後、ミエルは店の中に入った。

「あれはもう扱ってないんだ。値段が上がっちゃってね。
ここ数ケ月で、物凄く少なくなったらしくてね。自分で探してみなよ。まだ何羽か残ってるだろ?」

ムスクは店にいた人と話をしていた。
薬の材料でも買いに来たのだろうと考え、彼らを通り過ぎていたが、ある存在にはそうはいかなかったようだ。

「密談なの?盗み聞きするなの〜!!」

エアはムスク達の所に飛んでいき、2人の会話をこっそり聞いた。

「そうですか…確かに、この辺ではもう見かけなくなりましたね。」
「大きな声じゃ言えないが……の……に…が ………らしいぜ。」

薬の在り処を聞いたムスクは目を大きく見開いた。

「あんなところに…? でも、なんで? あそこは、モンスターがウヨウヨいる筈じゃ…?」
「そんなこたぁ知らないよ。もし捕まえに行くんなら、余った奴は買うぜ。」
「はははは。ご親切にどうも。いろいろとありがとう。」

会話を終えたムスクは店から出て行った。近くで聞いたエアは顔が真っ白になった。

「まいどー。また来てね。」

ちょうど、ミエルも買い物を終え、店から出ようとしていた。

「大変なの!!大変なの!!!」

突然、エアが羽をバタバタさせながらミエルに飛びついた。

「何?薬の材料がまさかあなた達だとか?」
「違うなの!!!とにかく大変なのおお!!!」

 
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