マジバケ小説 | ナノ


「ガナッシュ〜! 待ってよ〜!」

背後から甲高い声が聞こえ振り向けば、マサラティ村で別れたはずのキャンディ達が追いかけていた。

「なんだ、ついて来たのか?」
「放って置くと、どんどん先に行っちゃうんだからぁ!」

ようやくガナッシュに追い着き、キャンディは膝に手を付いた。
マサラティ村からここまで渡り、また相当な距離を走って来たのだから疲れたのだろう。

「全く、冷たい男ヌ〜。きっと俺の兄貴もこうやって捨てられたヌ〜。」

ガナッシュの姉、ヴァニラはカベルネの兄、シャルドネと付き合っていたが、3年前、突然変わってしまい、シャルドネの元から姿を消してしまった。

「姉は姉で、俺は俺だ。関係ない。」
「ガナッシュのお姉さんってすごい美人なんだよね?何度か会ったことあるよ。」
「1人でさっさと行ってしまうのは2人とも同じヌ〜。」
「んもう!お姉さんの事なんてどうでもいいわ!問題は、これから私たちがどうするかよ!」

クラスメートは1人も見つからず、何処なのか解らない所で彷徨い続けている。
すべての状況に、キャンディは不安を抱いていた。

「考えてるよ。俺なりにね。」

だが、それはガナッシュの言葉によって掻き消された。

「ホッ…。良かった。『エニグマを全滅させてからだ!』…とか言われたら、どうしようかと思っちゃった。」
「いいヌ〜。いいヌ〜。エニグマ全滅!やってみたいヌ〜!!」
「何言ってるのよ!!出来るわけないじゃない!!今までもギリギリで勝ってきたのよ!!偶然なのよ、偶然!!」

何を言い出すのかと思えば、あれ程苦戦してようやく倒せたエニグマを全滅しようと言い張る。
カベルネのとんでもない目標にキャンディは飛び跳ねる勢いで怒鳴りだした。
だが、カベルネは先程の冗談混ざった顔から真剣な顔に変わり、話を続けた。

「俺の兄貴の命を奪った1年前の事故………今思えば、事故でもなんでもないヌ〜。殺されたんだヌ〜。」
「殺された…………? 何よそれ?変なこと言わないでよー。」
「機密になってるから、知ってる人は少ないヌ〜。
兄貴の亡骸を引き取った時うすうす感じていたんだけど、事故の怪我じゃないヌ〜。」
「止めましょう、そんな話……聞きたくないわ。」
「相手は…エニグマに間違いないヌ〜。エニグマと戦って…!!命を落としたんだヌ〜!!」
「まさか……でも、だからと言ってここでお兄さんの敵でも取るの!?
冗談じゃないわ!こっちの命がいくらあっても足りやしないわよ!」
「力を合わせれば倒せるヌ〜!!」
「ダメよ……勝てやしない……戦っても戦っても、相手の数は減ってないじゃない。そんなの勝ちとは言わないわ。」

実際、海岸でも何度倒しても増えるばかりだった。それを全滅させるのは、素手で星を取りに行くような事だろう。
3人の終わりそうに無い話にガナッシュが終止符を打った。

「もう、その話は止めよう。帰ろうよ、もとの世界に。」
「……。」
「エニグマはプレーン間を自由に行き来してるだろ?奴等を利用できれば帰れるんじゃないか?」
「え〜!?そんな事出来るの〜!?」

驚きながらもキャンディ達はガナッシュに付いて行った。彼に付いて行く中、オリーブはとある物を見てしまった。

ガナッシュの心を、彼の本当の目的を。

 
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