マジバケ小説 | ナノ


メースの家は、マサラティ村の西の方にあった。
中に入ると、すでに中に居たシナモンは涙を浮かべたまま、奥の方に立っていた。

「いないわ。何処に行ったの、メース…いつ戻って来るの…?」
「シナモンさん。」
「!!」

自分を呼ぶ声を聞き、シナモンはミエル達に気付いた。

「メースはどうしたんですか!? 知ってたら教えて下さい!!」
「シナモンちゃん、全部教えてあげるから、落ち着いて聞いてね。」
「聞かせて! 何もかも聞かせて! 彼は生きてるの!? どこへ行ったの!?」

自分がウーズ熱に掛かったと思ったメースが自分を助けるためにアイスシードを取りに行ったこと、渡す代わりに村から出て行くと門番に命じられたこと、その条件を受け、メースが旅に出たこと、そして、もし自分が彼を追うのならキャムティ金貨渡してほしいとジンジャー頼まれたこと。
すべてを伝えたミエル達は、巾着袋をシナモンに渡した。

「お父さん…私、行きます…彼を探して、一緒に帰ってきます…。」
「本当に1人でメースちゃんを探しに行きますの?」
「皆さん、お気遣いありがとうございます。きっと…これが私の運命なんだよね。
機会があったら、またどこかで会いましょう。さようなら。」
「駄目ですの!!1人で行くなんて!!危険すぎますの!!」
「ありがとう。でも、いいの。メースが私のために命をかけてくれたように、私も彼を探すために命を懸けてみる。
私は彼に…、んーん、マサラティ村の人たちにも本音を全部ぶつけたいの。
彼は悪魔なんかじゃないって、全身全霊を掛けて言いたいの。」

どんなに危険な事があっても、メースと共に帰ると決心するシナモン。
今の彼女は誰も止められないのだろう。

「シナモンさん。」

メースの家から出て行こうとするシナモンをミエルが止めた。彼女はシナモンにある物を渡した。
メースが命懸けで取ってきたアイスシードだった。

「どんなに大変でも、どんなに絶望な状況に追い込まれても、これを見て思い出して。
あなたのために命も惜しまなかった彼の事を。そして、彼を見つけられると言う希望を絶対捨てないで。」

自分の手に乗ってる小さな実をシナモンはぎゅっと握り締めた。

「ありがとう。それじゃあ!」

そして、シナモンはメースの家から出て行った。

「信じようぜ、彼女を。校長が俺たちを信じてくれてるように、彼女を信じよう。」
「校長がどう考えてるかなんて本当のことは解らないけどね。」
「そんな事はどうでもいいよ。早くナイトホーク達を見つけて帰ろうよ。」
「そうですの!!もうすぐ魔バスも来る筈ですの!!」


ガナッシュ達を探すために、ミエル達は再びタル船へ向かった。
氷の島に行く時とは違って、今度はシードルも共に行こうとしている。

「よし、準備はいいよな?」
「バッチリダゼ!!」
「しゅっぱーつ!!」

皆で意気込みをし、タル船に乗ろうとした時だった。

「行くのか?」

まだマサラティ村に残っていたトリュフがミエル達の所にやって来た。

「うん。ここにいる皆を探しにいかなきゃいけないから。」
「トリュフちゃんも一緒に行きますの!!クラス全員で帰りますの!!」
「クラス全員……か……」

小さく呟くトリュフ。ミエル達はそんなトリュフの返事を待っていた。

「そうだな。どの道帰るつもりだったし、一緒に行くか。」
「イェーッス!キガキクゼ、ニイチャーン!!」

マサラティ村で会ったシードル、トリュフと共に、ミエル達はガナッシュ達を探しにエニグマの村へと出発した。

to be continued……

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