臨也独白

ねぇシズちゃん。
俺は君のその姿、声、存在そのものに苛ついて仕方がない。


高校生だったあの頃から、ずっと俺達は啀み合ってきた。
顔を合わせれば即殺し合い。
単細胞で、馬鹿力で、理屈が通じない。
そんな彼が俺は嫌いだった。
昔から人間の観察をすること、人間は好きだった。
それは今も変わらない。
全ての人間を平等に愛する。
それが俺のモットーというか、なんというか。
だけど彼だけは無理だね、愛せない。
…そう思っていたはずだけど。
いつの間にか目で追ってしまってる自分がいて。

あぁ、むかつくなぁ。
この感情が、世間ではなんというのか知ってはいるけれど。
どうしても認めたくなくて。
ほんと、参っちゃうね。
まさか俺がシズちゃんを、今まで散々嫌いだの死ねだの言ってきた相手を、好きになるだなんて。
…いや、好きじゃない。
これは違う、好きとか愛してるとか、そんな甘ったるい感情なんかじゃない。
って自分に言い聞かせてみるけれど。

きっと彼はこれからも俺のことを嫌い続けるだろう。
本気で俺に殺意を抱いているだろうから。
俺のことなんか、少しも見ちゃいない。
まぁ嫌われてるから当然か。
もしかしたら、可愛い彼女なんか作っちゃうかもしれない。
男の俺とは違って、結婚して子供を授かることの出来る女の子。
俺達は一生結ばれることなんかなくて。
どうせ想い続けても無駄、そんなことは分かっているけれど。
それでも彼のことを考えてしまうのは、一体なんなんだろうか。

あーあ、だから君なんて嫌いだよ。
俺以外の奴にばかり笑顔を向けてさ。
その目は今誰を見て、その口は今誰の為に言葉を紡いでいるのか。
そんなことばかり考えてしまう。
俺のことが嫌いなら、もういっそ近付かないでくれ。
君の姿さえ見なければ、諦めがつくかもしれないから。

それでも瞼を閉じれば、君の顔が浮かんで。
やっぱり諦めることなんて出来ないのだろう。
ほんと、嫌になっちゃうね。

鈍感な君だから、俺の想いに気付くことなんてないだろうし。
嫌いだよ、君なんか。
世界で一番大嫌いだ。








嫌い嫌い大嫌い。
(でも本当は好き。)


end.

-----------------

臨也の片想いとかおいしすぎる。
静雄のこと考えてもやもやしてたらいいよ。


prev bkm next
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -