晴ヒロ

※2人とも病んでます
直接的ではないですが、少し性的な描写があります




























心地良い暖かさを感じ、目を覚ます。
あれ、俺なにしてたっけ。
寝起きだからか少しぼんやりしたまま視線を横にずらすと、俺の腰に手を回したまま眠りこける晴矢がいた。
あー、昨日ヤったんだっけ。
このだるさはそれが原因か。
とりあえず晴矢を起こそうと、肩を揺すってみる。
「晴矢、起きて。手どかして。」
基本的に朝が弱い晴矢は、一回寝るとなかなか起きない。
何度か強く揺すると、晴矢は低く唸って小さく身悶えた。
「おはよう、晴矢。」
「…おはよ。今何時?」
そういえば何時なんだろう。
枕元にある時計に目をやると、午前5時を指していた。
「5時。もうすぐで朝だよ。」
こんな時間だしもう一回寝るのも勿体ないと思った俺達は、布団にくるまったまま他愛のない話をした。
「そういえば、さ。」
暫くすると、晴矢が少し躊躇いながら俺に話しかけてきた。
「ん、どうかした?」
晴矢は、ちょっと泣きそうな顔をして俺の方を見る。
「アンタいつ妊娠するのかなぁ。」
まただ。
俺と付き合い始めて、初めてセックスをした時から晴矢はこうだった。
俺は男なのに。妊娠なんて出来ないのに。
「晴矢、何回も言ってるけど俺は男だから妊娠しないよ。」
晴矢が、一瞬こちらを睨むとすぐに目をそらした。
「何言ってんだよ。アンタは綺麗で女みたいだ、出来るよ。」
何回言っても聞かなかった。
晴矢は本気で俺との子供を欲しがってるのだ。
いつまで経っても変化のない俺の腹を見て、残念そうに言うのだ。
「次は出来るといいな。」
無理なのに。
俺は男なのに。
暫く何か考え事をしていた晴矢が急に顔をあげた。
「俺の愛し方がまだまだなのかもな。次は上手くやる。」
そう言うと、晴矢は俺の体に覆い被さってきた。
「諦めればいいのに。こんな時間にヤるの?」
溜め息交じりに呟くと、晴矢は俺の頬を抓ってきた。
「ヤるよ。アンタとの子供、欲しいんだ。」
だってアンタが好きだから、そう言うと晴矢は噛み付くようなキスをしてきた。
どうせ出来ないんだから、諦めればいいのに。
俺と別れて、普通の女の子と付き合って、結婚して、幸せな家庭を築けばいいのに。
俺だって、そうすることはいくらでも出来る。
でも、それをしないのは。
この手を振り解かないのは。
俺も思ってるからだろう、晴矢との子供を孕めるって。
俺の事を愛おしそうに見つめる晴矢をちらりと見遣る。
晴矢は、心の底から信じてるんだろう。
いつか、俺が晴矢の子を身籠る日が来るって。
なんて可哀想なんだろう。
一生叶いっこないのに。
でも、まぁ。
そんな彼との子を産みたいなんて思ってる俺も十分可哀想だ。
可哀想な俺達を、朝日が照らし始めた。


夢を見る
(出来ないなんて分かってる)
(それでも信じてしまうんだ、君のことが好きだから)


end.




---------------
過去に書いたものが出てきたのでここで供養。

prev bkm next
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -