ヒロト

※若干病んでます。














ぶくぶくぶく、
どんどん水の底へ。

『ヒロト』
俺の名前。
父さんがくれた名前。
『グラン』
俺のもう一つの名前。
エイリア学園のジェネシスキャプテンである、俺の名前。
俺はキャプテンだから、みんなを引っ張っていかなきゃいけないんだ。
例えそれが間違ったことでも。

どんどんと、
真っ暗で深い深い水の底へ。
ここは暗くて、誰も居なくて寂しいな。
でもいつからだろうか、
明るい光が俺を照らし始めた。
やめて、
見ないで、
俺はそんなに綺麗じゃない。

思ってもいない言葉、
したくない行動。
いつまで続ければいいの?
俺が『グラン』として、言うことを聞いていれば父さんは嬉しい?
じゃあ、『ヒロト』はどうすればいいの?
俺は父さんが必要で、
父さんは俺が必要で…?

俺は、

俺が、

俺を、

あぁああああぁあああああああああああああ



みんな俺をグランって呼ぶよ。
おかしいね、俺はヒロトだよ。
「グラン」「グラン」「グラン」
やめてよ、その名前で呼ばないで。
俺はヒロトだって…
「でも、その名前だって偽物でしょう?」
違う、俺はヒロト俺はヒロトヒロトヒロトヒロト…
「可哀想に、本物のヒロトの代わりにされてるんだね」
…そんなことない、俺はヒロト…基山ヒロト
「あなたの本当の名前はどうしたの?」
俺の、本当の名前は、なに?



…俺には基山ヒロトって名前があると思ってた。
でも、違うみたい。
俺には名前はない。
エイリア学園がなくなり、『グラン』は消えた。
『ヒロト』は父さんの本当の息子の名前。


ぶくぶくぶく、
俺は今日も沈んでいくよ。
光の届かない、真っ暗な場所へ。

「そのまま消えてしまえばいいのにね」

誰かがそう呟いた気がした。
それは俺の声だったかもしれない。
今更もう、どうでもいいけれど。


end.

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病んでるヒロト。
ヒロトの境遇って、物凄いですよね…

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