ヒロ→→→→→晴

※ヒロト→→→→→晴矢→風介前提です。






「ねぇ、晴矢、」
ギシギシと、ベッドのスプリングが軋む音が暗い部屋に異様に響く。
先程から俺の上に馬乗りになって微笑みかけてくるヒロトに、目だけで返事をする。
そんな態度を気にもしないで、ヒロトは語り始める。
「あなたを殺して私も死ぬ、とか、殺したいくらい愛してる、とか。馬鹿らしいと思わない?」
「…、」
「そんなの本当の愛じゃない。自分の都合しか考えていないんだよ。自己中心的で、愚かだ。」
そう吐き捨てると、今まで嫌悪感を露わにしていた表情を緩め、俺の頬に手を添えてきた。
「俺はそんな愚かなことはしない。本当に、君を誰よりも愛しているんだ。それを証明するためなら、俺は何でも出来るよ。」
ヒロトは、恍惚とした表情で俺の頬を撫で摩り、窓の外を指差した。
「…例えば、今すぐここから飛び降りて死ぬ、とかね。そんなことも、晴矢のためなら余裕で出来るんだよ。」
そして俺を見つめ、ね?と首を少し傾げ微笑んだ。
その笑顔は、まるで子供のように無邪気だったのに何故か背筋が凍るような感覚に襲われた。
「あ、でもそれじゃあ晴矢とお別れしなきゃいけないか。それは嫌だなぁ、もっと別の形で証明しないとね!」
どうすればいい、どうすればこの状況を打破出来る?
大声を出そうにも、声が掠れてしまって実行に移せない。
「ね、俺はこんなにも晴矢のことが好きなのに、晴矢はいつも風介とばかりいるよね。俺はそれが凄い嫌なんだ…そうだ、邪魔者がいなくなれば、晴矢は俺のものになるかなぁ?」
「…っ!?」
俺を試すかのようににやつきながら、ヒロトは俺の耳元で どうする、晴矢?と囁きかけてきた。
こいつは狂っている…認めたくないが、こいつはきっと俺がこの手を振りほどき逃げ出したりしようものなら本気で風介を殺しに行くだろう。
俺に残された選択肢は一つしかない。
「…俺が好きなのは…ヒロトだから」
喉の奥から絞り出したその台詞を聞き、ヒロトが目を丸くする。
「それ、ほんと?」
「ほんと…お前がどれだけ俺が好きか伝わった、俺もお前が好きだから。」
嘘だ、けれどこれしかないんだ、仕方がないんだ。
「…嬉しい、晴矢大好き、愛してる。」
ヒロトは本当に嬉しそうに笑い、そして目を瞑ると俺の方へ唇を寄せてきた。
「…俺もだよ」
色んな気持ちを押さえ込み、これからヒロトの恋人として生きていくんだという覚悟を決め、俺は固く目を瞑った。


end.


-----------------

最近やたら暗い話しか更新してなくてごめんなさい!


prev bkm next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -