高→緑

※高尾が色々酷いです。
モブの女の子が出てきます。








「……。」
薄暗い部屋の中ベッドに寝転がり、ぼんやりと時計の針が進む音を聞く。
その間思い出すのは、つい数十分前の出来事。
『さいってー!』
最後にそう吐き捨てた彼女は、俺の頬に盛大にビンタをかましてくれた。
さっき鏡で見た時には見事に赤く腫れていて、何もそこまでしなくても、と少し呆れた。
今までも何回かこんなことはあった。
もう相手の顔も名前も思い出せないけれど。

事の発端は、俺の家に初めて遊びに来た彼女の一言。
『和成君は、私のどこが好きなの?』
私はバスケ頑張ってる姿と、笑顔が好き。
そう言って笑った彼女は、俺の返答を期待するようにきらきらとした目で此方を見てきた。
んー、女の子ってそういうの気になるの?
今まで付き合った子達も皆こんな感じの質問してきたなぁ、そういえば。
それでも一応答えてあげる。
『目だよ。』
彼女は予想外だったのかはたまた不満だったのか、少し目を丸くしたあと なんで?と聞いてきた。
なんでって、これ答えていいの?
今までの経験からすると、これに答えるとほぼ100%の確率で別れを切り出されちゃうんだけど。
まぁこの子と別れても別の子探せばいっか、なーんて。
『君の目、真ちゃんと同じ色だから。睫毛の感じも、少し似てる。』
『え、なにそれ…?』
彼女の笑顔が段々と引き攣ったものに変わっていく。
俺はなるべく彼女を傷付けないような言葉を選びつつ、1から説明してあげることにした。
『ごめんね、俺が好きなのは君じゃない。俺が好きなのは真ちゃんだけなの。でもさ、ほら、流石に告白とかは出来ないっしょ?ギクシャクしちゃうのが目に見えてるもんな。だから、真ちゃんに似た子と付き合ってたら少しは気が紛れるんじゃないかって。』
真ちゃんによく似た彼女の目がじわじわと潤んだかと思うと、すぐにぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちる。
特に可哀想とも思わず、ただ真ちゃんもこういう風に泣くのかなぁとか考えていたら漸く彼女が口を開いた。
『…今まで付き合ってた子も、そんな理由で?』
そんな理由、とか酷くね?とも思ったけど、余計めんどくさくなりそうだったので何も言わなかった。
『そうだよ。君の前の彼女は、髪質が真ちゃんに似てた。その前は確か、爪が似てたんだっけ。』
そこまで言うと、彼女はもう聞きたくないという意思表示なのか耳を押さえ首を横に振った。
『和成君がそんな人だったなんて思わなかった。』
『ごめんね〜。で、俺こういう奴だけどどうする?このまま付き合う?』
俺は別にどっちでもいいよ、なんて言いながらへらりと笑う。
まぁきっと別れることになるんだろうけど。
なんて考えていたら、まさかのビンタ。
『さいってー!』
涙を流しながら此方を睨む彼女は、そのまま立ち上がると部屋から出て行ってしまった。
ま、こうなるよな。
高校に入って少ししか経っていないけれど、もう何人もの女の子と付き合ってきたからこういったことには慣れている。
彼女を追いかけたりなんかせず、すぐに頬を冷やすべく階下へ向かった。

自分でも酷いとは思うけれど、こうでもしないとやっていけない。
真ちゃんに告白なんてできっこないし。
まぁこんな奴と知らず俺と付き合っちゃった女の子は運が悪かったってことで。
…さて、次はどの子にしようか。


この目は、
(いつだって君しか映さない)

end.

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ゲス尾ください。

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