高緑

今日は朝練がなくて、久々にゆっくりと登校出来た。
それが嬉しくて、廊下を進む足取りはいつもより軽い。
開け放たれた教室の扉を潜り、友達と挨拶を交わしつつ自分の席へ鞄を置く。
真後ろにある真ちゃんの席を見ると、そこはまだ空席だった。
きっと今日のラッキーアイテムを用意するのに手こずってるとかそんなんだろうと適当に納得する。
あーでも真ちゃん居ないと暇だなー。
椅子に腰掛け、ちらりと扉の方を見るも真ちゃんが来そうな気配はない。
まぁいっか、寝て待とう。
さっき起きたばっかだけれど眠いもんは眠い。
とりあえず来るまでは睡眠時間としよう。
特に物が入っていないぺたんこの鞄を枕代わりに、机に突っ伏する。
クラスメイトの喋り声が最初は気になったものの徐々に意識は薄れていき、直ぐに眠りについた。


「……ん、」
ぼんやりとした意識のまま、目を擦る。
あれ、何処ここ。
暫く自分が何処にいるのか分からなくてきょろきょろしていたが、直ぐに学校で二度寝をしたんだと思い出す。
時計を見ると、10分程経っていた。
「やっと起きたのか。」
突然後ろから声を掛けられて少し驚いた。
「真ちゃんおはよー。いつ来たの?」
「あぁ、おはよう。10分程前だが。」
それじゃあ俺が寝て直ぐ来たのか。
起きてればよかったなぁ。
そんなことを考えつつ、目の前の呆れ顔で汁粉を啜る真ちゃんを見つめた。
朝から汁粉ってすげぇな。
「…何なのだよ。」
うわぁ凄い嫌そうな顔された、傷付く!
別に〜、と笑って返事をしたけれど。
それにしても今日の真ちゃん何か違和感があるような。
…あ。
「真ちゃん今日のラッキーアイテム何処?」
ただ気になって聞いただけなのに、返って来たのは只々嫌そうに歪められた顔だけで。
「え、何その顔!まさかまた聞き逃したとか?やばくね?」
前に一度だけ真ちゃんがラッキーアイテムを聞き逃してしまった日のことを思い出していると、真ちゃんが小さい声でそれを否定した。
「…いや、聞き逃してはないのだよ。」
「じゃあどうしたのさ。」
暫く何も言わずに黙っていたけれど、しつこく問い詰めると渋々真ちゃんが口を開いた。
「今日はアイテムじゃなく、ラッキーパーソンだったのだが、」
「へぇ、アイテムじゃない時もあるんだ。で、それが?」
「…こ、『恋人又は好きな人』だったのだよ。」
顔を赤くしつつ、真ちゃんが本当に小さな声でそう告げてきた。
え、何この人可愛い!
「それで?」
一応俺は真ちゃんの恋人ってポジションだから、自分が今日何をしなきゃいけないのかなんて十分分かっているんだけど、真ちゃんの口から聞きたかったから態と先を促してみた。
そんな俺の考えが分かったのか真ちゃんはこっちを凄い睨んできたけれど、そんな顔真っ赤で睨まれても怖くないし寧ろ可愛いし。
「それで?」
もう一度同じように聞くと、漸く観念したのか赤かった顔を更に赤くしながら真ちゃんが口を開く。
「…だから、お前は今日俺と共に行動しろ。勿論放課後もなのだよ。」
うわぁ真ちゃんまじ可愛い!
にやにやしつつ頷くと、恥ずかしいのか真ちゃんは横を向いてしまった。
そんなところも可愛くて、更ににやにやしていると その顔はなんだ、と怒られてしまった。
本当真ちゃんってツンデレ。
というか、改めて言わなくても大体いつも一緒に行動してるよなーと思ったけれど、それを言うと 早く言え、と怒られそうなので黙っておこう。


思わぬ収穫
(ちゃんと好きでいてくれてるんだ、って分かったので)
(今日はとてもいい日です)

end.

--------------
初965は高緑です。
この2人はどっちが攻めでも美味しくて困る。
というか在り来りなネタでごめんなさい。

bkm next
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -