残→双→ちよ

※R-18ではないですが、少しだけそういったものを連想させる表現が出てくるので、苦手な人は注意してください。















「夏目さん、」
先程までラウンジで渡狸をからかったり、野ばらちゃんとちよたんのやり取りを眺めたりしていた。
そーたんから声をかけられたのは、すぐその後…ボクが部屋に戻ろうとしている時だった。
「そーたん。どうしたの〜?」
どうしたもなにも、この後に来る台詞は安易に想像出来るのだが一応聞いてみる。
するとそーたんは予想通り、
「これからお時間よろしいですか?」
と言ってきた。
「んー、大丈夫だよ。」
その返事を聞き、そーたんは では先に部屋に行ってますね、と歩き出した。



事の始まりは数週間前にボクが言った言葉。
「そーたんさ、ちよたんに告白しないの?」
彼がちよたんのことを本当に愛しているのは誰が見ても分かること。
ちよたんの方も、満更でもなさそうだ。
ボクがそう言うと、そーたんは そんなことしませんよ、とだけ返してきた。
「ふーん…ならさ、ボクのこと抱いてよ。」
気付いたらそんな言葉が出ていた。
そーたんを見ると、この流れで何故そうなるのだという顔をしていた。
「告白しないにしてもさ、色々溜まっちゃうんじゃないの〜?ちよたんに対する欲求とかさ。だからそーたんは、そんな欲求が溜まった時にボクを抱く。ね?」
「何故そのようなことを…」
「ボクはそーたんが好きだから。」
「…僕は凜々蝶様が、」
「知ってるって。別にボクのこと好きになれって言ってるわけじゃないの。そーたんはボクをちよたんだと思って抱いてくれればいいんだよ。」
そして再び ね?と言うと、そーたんは少し迷いの残った顔で頷いた。
その日のそーたんは、ずっと何か考え込んでいるような顔でボクを抱いた。
でも、そんな迷いも徐々に薄れていったのか、何日か経つと彼の方から誘いを持ち掛けてくるようになった。
抱かれている間そーたんはずっと優しくて、幸せな気分になるけれどすぐにその優しさはボクとちよたんを重ねているからだと気付く。
それを裏付けるかのように、そーたんはたまにボクを抱いている時「凜々蝶様」と呟くのだ。
それはとてもか細く、切なげな響きだった。
その言葉を聞くたびに、胸がどうしようもなく苦しくなり、こんなことをしている自分が嫌になるのだ。
自分からちよたんだと思っていいと言ったのに、それによってこんなにも辛い思いをしている。
酷く馬鹿げてると何度も思った。


けれどこんな歪な関係をやめられないのは、そーたんが好きだから。
好きになってもらえないことなんて分かってる。
でも、抱かれてるあの瞬間だけは彼をとても近くに感じれるから。
だからボクは今日も、彼の部屋のドアを開くのだ。



end.

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双残ブームがきた。
唐突にきた。
けれども私が書くとシリアスというか愛のない双残になってしまう\(^o^)/

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