残連

※転生後です。
 突然始まります。














「ねぇ、レンレン。」
早足でボクの元から遠ざかろうとするレンレンを呼び止めると、彼は少し肩をびくつかせ、ゆっくり此方を向いた。
「…おー、どうした?」
何処か余所余所しい彼の態度が少し悲しい。
「なんでボクのこと避けるの?」
その言葉を聞いたレンレンは明らかに動揺していたけれど、何でもないような素振りで 避けてないよ、と答えた。
「嘘。どう見ても避けてるでしょ〜。まぁ、その理由は全部分かってるんだけどね…ボクは百目の先祖返りだしさ。」
そう言いながら一歩、また一歩とレンレンに近付く。
手を伸ばせばすぐに触れる距離まで来ると、黙ったままなレンレンを抱き締めた。
「ごめんね、レンレンを残して死んじゃって。」
今まで言いたかった言葉を耳元で囁くと、レンレンが僅かに顔を伏せるのが分かった。
「また昔みたいに戻れないの?もうボクのこと嫌いになっちゃった?」
何の反応もないのでまさか本当に嫌われたんじゃないかと不安になったけれど、暫くしてレンレンが小さく首を横に振ったので安心した。
顔を覗き込むと、ボクの視線から逃れるように顔を背けつつやっと口を開いた。
「…俺さ、ずっと待ってたよ、残夏が転生するの。」
「…うん。」
「残夏が転生してきて、すげー嬉しかったけど、…」
「けど?」
「俺、もう40過ぎのおっさんだしさ。残夏はまだ若いし、俺なんかよりもっといい人見つけれるんじゃないかって、」
そこまで言うと、レンレンはきゅっと口を閉じて俯いた。
あー、ほんとにもう、
「馬鹿じゃないの、レンレン。」
突然そんなことを言われ驚いたのか、レンレンはきょとんとした顔でこちらを見てくる。
「ボクはさ、レンレンじゃなきゃ駄目なんだよ。年齢とか別に気にしないしね。ボクは昔みたいな関係に戻りたいけれど…嫌?」
言い終わるのと同時に、暖かいものに包まれる。
すぐにレンレンに抱き締められたのだと分かり、向こうからこんなことをされるのは滅多になかったので少し嬉しくなる。
「嫌じゃない、俺も、戻りたい。」
「ん…今度は絶対レンレンよりも先に死なないからね。レンレンの最期の時まで、ボクが傍にいてあげる。」
そう言って抱き締め返すと、レンレンが小さく 泣かせんなばか、と言って背中を軽く叩いてきた。
そんなレンレンがたまらなく愛おしくて思わず レンレン可愛い、と呟いてしまった。
「おっさん相手に可愛いはないっしょ。」
そう言って少しむっとした顔をしたレンレンだけれど、彼を視ると沢山のボクに対する『好き』が溢れていて、それが少し恥ずかしくて、でも凄く嬉しくて。
やっぱり可愛い、そう心の中で呟いた。


end.

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初inbkは残連でした〜。

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