残→渡

※残夏さん病んでます。
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やることもなくて暇だったので、たまには渡狸を迎えに行こうかなと学校まで来た。
渡狸が何か問題を起こしたりしない限り、迎えには行かないのできっとびっくりするだろうなぁ。
そんなことを思いつつ、門の前で渡狸を待つ。
暫くすると昇降口からは生徒がばらばらと出てきた。
そこに混ざって、見知った金髪が見える。
名前を呼ぼうとしたけれど、その隣に渡狸と同い年くらいの見知らぬ少年がいたのに気付く。
楽しそうに笑いながら、時に肩を小突いたりして仲良さそうに此方に歩いてくる二人。
そんな二人を見ていると、沸々とどす黒い感情が湧き上がってきた。
「でさー、」
「何だよそれ…って、え、残夏?」
二人の会話が聞こえるくらいの距離になった時、渡狸がやっとボクに気付いた。
「やっほー渡狸…さ、帰ろうか。」
返事をする間を与えず、渡狸の腕を引き門の外へ。
咄嗟に少年が何が起こったのかさっぱり分かっていないような顔で渡狸の名前を呼んだ。
「え、ちょ、卍里!?」
「ごめん、じゃあな!」
ふぅん、名前で呼び合う仲なんだ?
それが余計にボクを苛つかせる。
自然と速まる足に、強くなっていく渡狸の腕を引く力。
渡狸が何か言っているのも聞かずに人気のない路地へ入る。
「残夏、おい、残夏!」
「…あの子誰〜?」
いつもの口調と笑顔を絶やさないように、そう一言。
「友達だけど、」
「本当に只の友達?」
「そうだよ、何が言いたいんだよお前…てか離せよ!」
一向に腕を離さないボクに苛ついたのか必死に振り解こうとしているけれど、ボクの方が握力は強いから無駄だ。
不良不良言ってるくせに余り力は強くないんだよね、まぁそんなところも可愛いけれど。
「名前で呼ばせてるんだね、随分と親密そうだったけど。意外だね渡狸に普通の友達がいるなんて。ボク知らなかったよ?何で何も教えてくれなかったのさ。」
一気に捲し立てると、少し渡狸の顔が引き攣ったような気がした。
気にせずにそのまま渡狸にぐいっと顔を近付ける。
「ボク以外の男と仲良くするのは余り感心しないなぁ。」
「お前何言って」
「渡狸は可愛いんだから、気を付けないと変なのに狙われちゃうよ〜?でも大丈夫、そうなったらボクが守ってあげるからね!そうだ、これからは毎日送り迎えしてあげる☆その方がより長い時間渡狸と一緒にいれるし、渡狸に変な虫つかないように出来るし一石二鳥だねボクって頭良いなぁ!ね、渡狸。」
「……」
渡狸、何も返事してくれない。
ずっとこっち向いたまま。
何でそんな怯えたような顔してるのさ。
でもそんな顔も可愛いね、渡狸。

きみはだれのもの
(勿論、ボクのものだよね?)


end.

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色々直したい。

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