残→←連

「なぁ、残夏。」
「…ん〜?どしたのレンレン。」
風呂上り、自販機の前で一人清涼飲料水を飲んでいた時だった。
不意に後ろから声をかけられ、その声の主が誰かは分かっているんだけれど、待っているのも分かっているんだけれど、振り向くのに躊躇う。
特に欲しいものもないのに、適当なジュースを眺めてみたりして。
その様子を見て、彼が少し怯むのが分かった。
「何でこっち向かないの。」
「向いて欲しいの〜?」
「っ、今俺結構真面目なんだけど、」
流石にボクの態度に苛ついたのか、珍しくトゲのある声だった。
「ボクも真面目なんだけどなぁ、別にそっち向かなくても会話は出来るよ?」
「…、」
酷いこと言ってる、そんなの分かってる。
でもね、仕方ないんだよレンレン、ごめんね。
レンレンが何も言わなくなったので、少しだけ其方に視線を向けてみた。
丁度、タイミング良くぱちっと目が合ってしまう。
あ、ちょっと気不味い。
お互い目を逸らせず、かといって何も言わず、暫く見つめ合う。
沈黙を破ったのはレンレンの方だった。
「…き」
「え、何?」
余りにも小さい声だったので、思わず聞き返す。
「だから、俺は残夏が、」
…あ、ダメだよレンレン。
その言葉、言っちゃダメ。
「ダメ。」
急に言葉を遮られたレンレンは、小さく 何が、と呟いた。
「それ以上、言っちゃダメだよ。」
だってボク、視えたんだよ。
少し前に、ちょっとだけレンレンの未来、視えちゃった。
隣にボクだけじゃなく、皆いなかったんだよ。
それってさ、レンレンひとりぼっちになっちゃうってことでしょ?
それなのにボクなんかと付き合っちゃったらさ、ボクが死んだらレンレンはどうするの?
ボクの所為でレンレンを悲しませたくない。
本当は、君のことたまらなく好きだけれど。
大好きな君には笑ってて欲しいから。
「お前、ほんと意味わかんね…」
レンレンは顔を片手で覆い、下を向いていた。
ごめん、ごめんねレンレン。
でもね、きっとすぐに忘れるから。
その気持ちも、ボクのことも、きっと。

分かってる、これは全部ボクがボク自身に言い聞かせてるんだって。
悲しませたくないって言ってるくせに、今のレンレンがとても悲しそうだって。
それでもきっと、これが一番いい方法。
ごめんねレンレン。


抱き締めたらそこまでだと分かっているのに僕は
君に触れたくてたまらない


(歯止めが効かなくなるから絶対にしないけれど。)


end.

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うー考えてることを文にするの難しい(今更)。
title:自慰

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