03*

初めてだった。
誰かに、作り笑顔を指摘されたことが。
『それ、いつもしてんの?』
『作り笑い。』
今でもたまに、あの出会いを思い出す。
何回も何回も転生して、何回も何回も同じような運命を辿って。
ボクの周りにいた人達…例えば、そーたんや蜻たん、渡狸なんかは記憶を持ったままだったり、全て覚えてなかったりだった。
それに対して、ボクは毎回全て覚えている状態。
今まで仲良くしてたのに、再会すると相手はボクのことを何も覚えていない…なんてことはよくあることだった。
百目という妖怪の先祖返りの為、他人に気味悪がられることなんてしょっちゅうだった。
そんな中、ちゃんとした、心からの笑い方なんて忘れてしまった。
仕方の無いことじゃないか。
心から笑い合える相手に出会えたとしたって、きっといつかは忘れられる。
そんな思い、もうしたくないんだ。
あの時、少しだけ彼の心が視えた。
ボクの本当の笑顔が見たいって?
何それ、余計なことを考えないで。
ボクはちゃんと笑えてる、それでいいじゃないか。



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