反ばらもどき

1ページ目、野ばらさんと連勝さん。
2ページ目、残連。
---------------


















「あ、」
ラウンジで、朝食をとっている時だった。
きっかけは、野ばらの 今日も雨ね、という一言。
「なによ急に。」
「いや、そういえば俺今日誕生日だった。」
「へー。」
「おー、どうでもよさそうな返事。」
この時期は梅雨真っ只中でじめじめとしている。
今この瞬間も例外ではなく、非常に不快な湿気が体にまとわりついている。
だが小さい頃は自分の誕生日があるからという非常に可愛らしい理由でこの季節が好きだった。
流石にもう、誕生日如きで喜ぶような歳でもないけれど。
軽いノリで野ばらに 祝ってくれないの?と聞くと、凄く嫌そうな顔をされた。
「なんであたしがアンタの誕生日を祝わなきゃいけないのよ。」
「わー、野ばらちゃん冷たい。」
わざとらしい泣き真似をしてみせると、更に顔を歪めて うざっ、とだけ返された。
まぁ分かりきっていたことなので、いいけれど。
自然と会話が途切れたので、そのまま朝食であるカレーうどんに意識を集中させる。
あ、またはねてしまった。
後で凜々蝶に染み抜きしてもらわなければ。
そんなことをつらつらと考えていたら、野ばらが少しこちらを見てきた気がした。
「…まぁ、」
「んー?」
「アンタとはこれからも付き合っていかなきゃならないだろうし、一応おめでとうくらいは言ってあげてもいいわよ。」
愛読のグラビア雑誌を読みながら、さらりとそんなことを言うものだから少しどきっとした。
「おー…」
「誕生日おめでと。」
「野ばらちゃんツンデ「アンタそんなに雑巾になりたいの?」…ごめんなさい。」
謝ると、野ばらは小さく舌打ちをしつつ再びグラビア雑誌へと目を向けた。
「でもやっぱ、」
「なによ。」
「さっきのはちょっとどきっとした。」
「…シュレッダーにかけるわよ。」
そう言った野ばらの耳朶はほんのりと赤く色付いていた。
それが可愛かったから、いつもみたくごめんなさいと謝る声に少し笑いが含まれてしまった。
笑いに気付いたのか椅子の下で野ばらが俺の脚を蹴った。
「もう、ほんとうざいわアンタ。」
照れ隠しの言葉だと分かっているけれど、ごめんね、と返しておいた。

このやり取りの所為で学校に遅刻してしまったのだけれど、まぁ今日くらいはいいんじゃないかな。



end.



→残連

bkm next
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -