「真ちゃん、こっち向いて。」
「なん、…っ！」
振り向いた真ちゃんの唇に自らのそれを軽く押し付けるように口付ける。
すぐに離したけれど、真ちゃんは免疫がないのか顔を真っ赤にしていて。
「ははっ、いつか真ちゃんが彼女作った時の為の練習ー。」
「それを今したことと相手がお前である意味が分からないのだよ！」
多分真ちゃん、初めてだったんだろうなぁキスするの。
俺がケラケラと笑うと、真ちゃんは溜息を吐いてそっぽを向いてしまった。
そんな一つ一つの仕草が愛しい。
自然と指で唇をなぞってしまう。
ついさっきまで真ちゃんの唇に触れていたのに、そこはもう熱なんか何も残っていなくて、それが少し悲しかった。
突然黙った俺が気になったのか、真ちゃんが俺の名を呼んだけれど、俺はなんでもないよ、とだけ言うとまたいつものようにへらりと笑った。
真ちゃんはきっと、唇へのキスが"愛情"って意味を持ってるだなんて、知らないんだろうなぁ。



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（もしもそのことを伝えたら、この関係も少しは変わるのだろうか）