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「んっ、やぁ…っ」

ぐちぐちと粘膜が擦られる音。
それが自分のケツから聞こえて来るなんて、信じたくない。

「ひ、ああんっ!」

自分の声から出てるとは信じたくない声が出て来てしまうのは、後ろから覆いかぶさってくる男が変な所を突いたせいだ。
…そう、男。

「もっ、止めてっ…」
「っせーな、てめぇは文句言わず喘いでろ淫乱」

巻き髪のウィッグは外されて今は茶髪の短髪。
フリフリの可愛らしいスカートも今はベッドのどこかに脱がれてタンクトップ1枚。
…タンクトップ1枚でも全裸で貧相な体を晒してる俺よりマシだろう。

彼は男。
つい1時間前までは綺麗なお姉さんだった筈なのに。

「つかてめぇ、こんなとこまでのこのこ付いて来てどうする気だった?俺にハメるつもりだったのか?はっ」
「んぁっ」

ぱしん、ケツを叩かれて痛いはずなのになぜか俺の声は媚を含んでるかのようなもの。
…しょうがないだろ。
前立腺に後ろの悪魔のちんこが当たってるんだから。
童貞で性的な刺激に慣れてない俺からしたらちょっとの刺激でも言ってしまいやす。

「あーっ、やっぱ処女は締まんなぁ。ほら、」

ラストスパートとばかりに体を揺さぶられて、ミラクルゾーンの前立腺ばかり苛められて、ぐちゃぐちゃ言う音すらも聴覚を犯すようで。

「ひっ、やっ…なんか来るっ!!」
「はっ、締め付けすぎ」

ビクンビクンと大げさなぐらいに体が跳ねました。

「アナルバージンなのに後ろだけでイクとか、お前どんだけ?」

俺の人生、オワタ。




どうしてこうなってしまったのか。
話は数時間前にさかのぼる。

『じゃあI駅の西口で13時にね。目印ににゃんこの鞄もって行くから』
『え、じゃあ俺は…高校時代の学ランでも着て行きますっ!』
『あはは、補導されないようにね』

そんなメールのやり取りの結果、数年前に着納めした学ランを引っ張り出して身に着けるに至った。
…うん、若干若作りしてる気がするけど良いよね

今日は待ちに待ったオフ会の日。
腐男子な俺が、日参している神サイトさんの管理人さんとメールのやり取りをし始めたのはいつからだろうか。
彼女の話はとっても俺好み(淫乱誘い受けとかヤリチン総攻めとか)。
最初はサイトを日参。その内ブログを日参。過去のものから最新のものまで読み返した事は、片手じゃ足りないくらいある。
ストーカー?…彼女の文章が神なだけですー。

そんな彼女に、こないだ自分が男だってことをカミングアウトした。そしたら、
『え?リアル腐男子!?会いたい会いたい生見たい!』
…正直その時は管理人さんのことを神様とばかりに崇拝してましたからね。
『俺も生で会いたいです!神崇拝のジュンさんに会えるなら死ねる!』
…重っ。
まぁそんな訳で待ち合わせの駅。

ジュンさんは白いにゃんこのバッグを持った綺麗系のお姉さんでした。
巻いている髪はくるくるふわふわ。大人っぽいスカートにナチュラルメイクで目の大きさが際立ってる。
その格好ににゃんこの鞄とか…ギャップ萌えですか。と、リアルではノンケの全俺が興奮した。

「ジュンさんですか?」
「?あ、エンさん?」

声はちょっとハスキー。
でも、セクシーでいい声。

「はい、わーこんな美人さんと思ってなくてびっくりしました」
「私も…」

何か言いかけてはにかむように笑うジュンさん。
え、何?脈有り?

「本当に学ランでくるとは思ってなくてびっくりした。19歳…だよね?」

そっちかい。



それから2人でアニメイトとかメイド喫茶に回った。
メイド喫茶でジュンさんがタバコを吸い始めたのにはびっくりしたけど。

「?なに?」
「いや、タバコ吸うんだなーって思って」
「あ、ごめん嫌だった?」
「ううん。タバコ吸ってる女の人ってセクシーだから好き」

言ってハッとなる。
なんだか口説いてるみたいだ。

「こんな可愛い子にそう言ってもらったら嬉しい。
でもなぁ、何で学ラン脱いじゃったの?」

ジュンさんは茶目っ気たっぷりに笑ってそう聞いてきた。
俺は途中のトイレで持参してきた私服に着替えてる。

「いや、一応もうすぐ成人だし…痛いっしょ」
「えー可愛かったのにい」

美人なお姉さんにそう言われたら、男冥利に尽きますけどね。
それとこれとは話が別です。

「じゃあさ、せっかく私服だしお酒でも飲む?」
「はい!!」



数分後、お姉さんに酒を勧められるまま俺はほろ酔い。
そのまま2人で夜の街を彷徨って。

「ちょっと待って、」
「?どうしました?」
「ちょっと足が痛くて…」
「あ、ごめんなさい。どっかで休憩します?」

居酒屋とかの通りだった。
タバコ吸うなら居酒屋の方が良いよなって見渡していると袖をクイクイっと引かれる。

「あっちが良いなぁ…」
「ん?」

指さす方を見ればやけにネオンが綺麗な…
ラブホテル。

「ぶふぁっ」
「…だめ?」

そうして首を傾げてくるジュンさん。
こんな綺麗な人にこんな可愛い仕草をされて…
断れる人がいたら会ってみたい。

「いいですよ!!」

この時の俺を後で激しく後悔するとは知らず、俺は締まりのない顔で頷いたのだ。




「ほら、水飲む?」

回想に入っていた俺にジュンさんは笑いながら聞いてくる。
声はやっぱりハスキーで、ても男の人にしたら高めの声。

「…くださ、い」
「ん」

なんか色々なところが痛いけどゆっくり手を伸ばして水を一口。
痛む喉に染み渡って凄くおいしい

ラブホに来た俺にジュンさんはいきなり抱きついてキス。
そのまま頭が真っ白になってる俺をあれよあれよという間に脱がしていって、気付けばジュンさんはウィッグを取ってスカートを脱いで、暴れる俺を押さえつけて逞しいちんこを挿れやがった訳だ。
返せ、俺の純情。

「なんで…騙してたんですか」
「ん?いやー腐男子って食ったこと無かったし。ノンケっぽかったし可愛かったからつい」

ついじゃねーよ。
何も言わず睨んでたら笑って頭を撫でられた。

「んな顔すんなって。お前も俺のこと好きだろ?神崇拝の俺に抱かれて嬉しくなかった?」
「それとこれとは…話が別、です」
「新作書く予定なんだよねー」
「え!?うそうそどれっすか?ヤリチン総攻めシリーズ?淫乱誘い受け長編?それとも短編?教えて下さいよー!」

単純な俺。この人の文章が好きだから、本当に嬉しい。

そんな俺にジュンさんは笑ってケータイを見せてきた。
そこには、ハメ取りされてる、俺の裸。

「へ、」
「新作の腐男子君受けシリーズ。…小説書くお手伝い、させてね?」

手伝わなきゃこの写真どうするか分かってるんだろーなと。
ジュンさんはとても綺麗な笑顔で笑っておられました。




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