腐った兎 | ナノ


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「ただーいまー」

生徒会室の扉を開けばそこには美形ワールドが広がっていました。あ、オレ含めてね(ここ重要!ナルシストとか言わないで)。

「風紀の用事は終わったんですか?」

副会長の鳳祐(おおとり たすく)が聞いて来る。
金髪碧眼でまるで王子様なのに、いつも作り笑いを顔に浮かべてる。突っ込まないけどね、怖いから。

「終わったよぉ。副会長オレがいなくて寂しかったあ?」
「寝言は寝てから言って下さい」

わぁ、こわーい。
こんな所があるから副会長苦手。

「優兎仕事終わったー?」
「遊ぼー」

子供みたいにじゃれついて来るのは書記の桧野千真(ひの かずま)と世真(つぐま)。
知能をどこかに忘れて来たのかな、勉強嫌い、遊ぶの大好き、仕事嫌い、らしい。
だから書記の人数も何故か2人。
2人で一人前にもなってないから意味ないけどね。

「あ、頼まれた仕事して来たよー」
「…ありがと」

庶務の桜上健司(おうかみ けんじ)に声を掛けると小さな声で返事が返って来た。
庶務だけど人と接するの苦手だから書記と仕事変わったり、オレがたまに仕事したりしてる。風紀の敵情視察ついでに。

「優兎、帰って来たなら茶でも淹れろ」

生徒会長の神藤龍也(かみふじ たつや)が偉そうに椅子から声を掛ける。

「えー」
「…俺の言う事が聞けないのか?」

こっわー。竦んじゃうよ一般人は。オレもだけど。
さーて、ご機嫌を損ねないうちに。

「分かりましたー。んで、何にするんですかー?」
「コーヒー。ブラック。つかなんだその言い方」
「べっつにー?」

怖いお方と喋りたくないだけだもーん。なんて、めんどくさい事は言わずに給湯室へ。
今の生徒会メンバーで一番マシなのは庶務だよなぁ。たまに何言いたいのか全然分かんないけど。
一番ナイのは副会長だよね。毒舌反対。
その次は双子。なんか双子パワーで自分たち正当化してるし。可愛いけど。
んー…会長は意外に真面目。でも、あの命令口調がなぁ…。

そんなことを考えながら人数分の飲み物(会長はブラックコーヒー、副会長は紅茶、双子はココアに庶務が緑茶。オレはカフェオレ)を用意し部屋に戻る。

「みんなで休憩しよっか」

まぁ、なんだかんだでこのまったりした空気も好きなんだよね。
趣味にぼっとーしてる時の恍惚感はないけど。
なんて。

日和見主義者なオレは笑った。

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