腐った兎 | ナノ


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「どういう事だ?」

え、なんでオレ睨まれるの?何かいけない事した?

「会長こわーい」
「ふざけてんなよ」

わ、マジで、何?

「会長、相楽さんの言ってる事は本当ですよ。自分が何も知らなかったってのになんでそんなに偉そうなんですかねぇ」
「ああ?」

こわ、龍硫くんのフォローは嬉しいけど、火に油だよねこれは…。

「…会長」
「なんだ」

勇気を振り絞って会長に声をかけた。

「なんでそんなにイライラするの?」
「…てめぇが、」
「オレのせい?オレ、知らないうちに会長怒らせた?」

ゆっくりと布団から立ち上がる。
視線の先には眉を寄せた会長。
怖いけど、

「ごめんなさい」

深々と頭を下げた。

「は?何を…」
「オレが何かして会長怒らせたんでしょう?なんで怒ってるのか、教えて?直すから」

言えば、嫌ぁな沈黙。
皆も黙ってるし、晒者みたい。
嫌だよ、こんな空気。
助けて、よーこちゃん。

「…さが……優兎」

会長が、オレの名を呼ぶ。
どことなく声が優しい。
それに少し安心した。

「お前は、俺以外の生徒会の仕事をみんなやってたのか?」
「そーだよ」
「それが本当なら…怒ってるのは俺自身に、だ」

言って会長は、ゆっくりオレの顎を持ち上げて顔を上げさせる。
会長はなんだか、哀しい顔をしてた。

「悪いな」
「え、」

今度はオレが沈黙する番。
だって…あの俺様生徒会長が、謝った。

「なんで会長が…」
「それで話が済むと思ってるんですか?」

固い声は、龍硫君のもの。

「一人の転入生に現を抜かしている生徒会。仕事を相楽さんに押し付けている今の現状を、会長ともあろう方が見過ごしていたなんて、笑えますね」
「……」

今度は何も言い返さない、会長。

「龍硫、くん…?」
「相楽さん、あなたは風紀で保護します。
暫くは生徒会の仕事に手を出させない」

そうして今度は会長を睨み付けた。

「今、一般生徒の間では生徒会が仕事をしていないと専らの噂です。相楽さんのお陰で、仕事は滞りつつも回っていますが…相楽さんがいなくなれば、リコールされるのも時間の問題ですね。
あなたを呼び出したのは、この話をしたかったから。分かったら、出て行って下さい」

有無を言わさない口調に、会長は「…そうか」と、ぶっきらぼうに言って出て行った。
会長が出て行く直前に龍硫君が呟いた「あなたを目標にしてたのに、失望しました」と言う言葉は、聞こえてたんだろうか。

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