腐った兎 | ナノ


11


「相楽さん!」

ドアを開けて入って来た龍硫君。
そのまま、オレが寝ているベッドに片足掛けて布団を無理矢理捲っている会長に気付いたみたい。

「……どけ」

ぞっくうう!
何今の怖い声!オレじゃなくても怖い!鳥肌立った!

オカン属性の龍硫君のブラックな一面にぶるぶる震えてるオレと違って会長は余裕の表情。

「なんだ龍硫?大人の時間を邪魔する気か?」

そしてオレのほっぺたを撫ぜてくる。

「…会長、無理。オレ今疲れてるから会長に突っ込む元気ない」
「ぶっ」

…汚い。
会長が口から吐き出した液体のせいでオレの顔が顔射もどきみたいな事になってる。
人にするのは好きだけどされるのは嫌い。
毛布でこっそり顔を拭いた。
龍硫君は龍硫君で爆笑して壁をばんばん叩いてるし。
キャラ崩壊凄まじいなぁ。

「…誰に突っ込む気だ?」
「え、会長誘ってくれたんじゃないの?」
「……龍硫うるせぇ」

ますます笑ってる龍硫君に、会長の矛先が剥く。

「す、すみません会長っ…優兎さんは疲れてるので騎乗位で勘弁して上げて下さ…ぶふっ」
「てめぇ…」
「ごめん会長!積極的なのはいいんだけどオレ騎乗位は…」
「てめぇもてめぇで変に遠慮してんじゃねーよ!」
「ヤるならバックの気分」
「ぶはぁっ」

龍硫君の腹筋が心配になって来た所で、今度は何故か風紀委員長と申一君が部屋に入って来た。


「…乙巳?」
「あ、すみません委員長」

凄い、委員長マジック。
一発で龍硫君の笑いが止まった。

…え、て言うか何。この状況。
風紀のツートップ+会長、そして何故かオレの親衛隊長とか、なんかヤバい状況なのかな。
激しく逃げ出したい。

「神藤、今の状況は理解出来るか?」

とか思ったら委員長は会長に話し掛けてる。

「さぁな」

不遜な会長は、不遜な笑顔。
凄い!恐ろしい風紀委員長様にこの態度!
なんで会長こないだ助けてくれなかったんだよう…。

「…なんで相楽さんが倒れたか、会長は分かりますか?」
「(来た修羅場ァア!アンチ王道とのバトル前!?生BLハスハス!)」

…うん、申一君はいつも通り。安心安心。

「申一くーん」

おいでおいですると、きょろきょろしながらオレの傍に来てくれた。
ぎゅっと服を掴んで一安心。

「(ぎゃおす!実はツンデレ要員の会計様だけどなんでそのデレをオレに発揮する!そしてこの方々の前でそんなことしないで俺はちゃんとフラグにも気付いてるんだからぁあ!)あの、相楽様?」

気付かないぞー。なんか恐る恐るな申一君が何に恐れてるかなんて分かんないしー…にしてもオレもなんか忘れてる気がするなぁ。
…てゆうかなんで皆こっち見てるの?なんだかいたたまれない。
龍硫君はどことなくブラックだし会長も委員長も変な目で見てるし。

「…まぁいい」

とか考えてたら委員長がいち早く視線を外してくれた。感謝。

「そこの生徒会会計が先程倒れたのは知ってるな?」

委員長?感謝した後に冷たい視線とか、いたたまれない、よ?

「まぁな」
「何故倒れたのか分かるか?」
「はぁ?俺が知る訳ねーだろ。どっかのセフレに病気でも貰ったんじゃねぇのか?」

…嘘だろ?
会長の言葉にオレの脳みそが冷えていくのが分かった。

オレは基本的に申一君に調べて貰って安全かどうか確認してからヤるようにしてる。
理由は簡単。病気怖い。
ここ暫くは仕事が忙しくてヤってないけど…それでも性病が原因で倒れたんだとしたら?
知らず知らずの内に顔が俯いてく。

ひとまず病院に行って検査。オレがここ最近抱いたチワワちゃんも調べなきゃ。男同士のトラブルについてなら羊子ちゃんに…

バンッ、

小気味の良い音がして、はっと顔を上げた。
いつの間にか会長が龍硫君の手を握ってる。
…握ってるって言うか、殴ろうとした手を止めた?みたいな…

「何の真似だ?」
「そのふざけた口を閉じさせようかと思っただけだ」

魔王が光臨なされたぁあ!
おっそろしー!
とか考えてたら、

「会長様?いくらなんでもそれは言い過ぎだと思いますよ」

あれ?申一君もなんか怒って、る?
…いたたまれないよこの状況!何この怖い空気よーこちゃんヘルプ!…あ、

「相楽さん、最後にそう言う行為をしたのはいつですか?」

わ、魔王龍硫様がこちらに話を振りなさった!

「え?セックス?」
「はい」
「えー?…申一君いつか覚えてる?」
「一ヵ月と16日前です(萌えが見られなくなったから覚えてる!)」
「…だってさ」
「僕の知る限り、相楽さんの帰りはここ最近毎日遅いですよね?日によっては生徒会室に泊まり込む日もある…帰宅しても部屋に籠りっ放しで目の下にはクマ。何故ですか?」
「え?」

オレ、目の下にクマなんてあった?
わーどうしよう気付いてなかったオレのビューティーフェイスがぁ!

「えっと、生徒会の仕事してたかなぁ」
「…委員長?相楽さんは数日前、自分の分の仕事は終わっていたと言いましたよね?」
「ああ…風紀にも提出に来た」

龍硫君の言葉に、苦虫を噛み潰した様な顔の委員長。どうして?

「相楽さん、あなたは生徒会の何の仕事をしてるんですか?」
「何って…」

3人がじっとこちらを見て来る。
あー怖い。プレッシャーに負けそう。

「オレと、それから会長以外の皆のお仕事だよー?」

答えた瞬間会長の顔色が変わるのを横目で見て、あれ、言っちゃいけなかった?とか焦ってしまった。

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