協力を仰いでみました
「じゃあ、とりあえず、冨永くんに聞きに行こう」
「なんでオマエはそう単調なんだよ。つーか、学習能力ねーだろ実は」
オマエなんか頭脳派ヒロインじゃねー。と、世界観を崩壊させるような事を言われた。榛名にだけは頭脳派を否定されたくなかったので少し悔しくなった。
「いや、私は榛名よりは頭脳派だ」
「配球考えられる分オレのが上だ」
「テストの点は私のが高い。多分」
なんにせよ、私達は頭の良し悪しは置いておいても、極端な考え方をしてしまうような人間なので、(というか、ある意味、破壊的な考え方をしてしまう人間なのだ。そう考えると、前回この二人だけでなんとかなったのは奇跡だったかもしれない。)誰かに相談することにした。
かといって、事のあらましを知っている人間というのは限られてくる。
「と、言うことで頼みます。」
「私をそこで選ぶのが、あなたのキモいとこだってわかってる?」
放課後。榛名くんと待ち合わせした教室にて、前回の犯人こと、濱村さんはそう言うと、わざとらしくため息をついた。
「だって仕方ないじゃん。」
「仕方なくない。越石さんのことだから、どうせ考えるのが面倒になったっだけでしょ。」
いや、しかし、榛名くんにしても濱村さんにしても、私への評価が相当酷いと思う。
「で、榛名くんは?」
「秋丸くん呼びに行った」
「ふうん。誰それ」
「私もよく知らない。幼馴染だって」
そんな話をしていると、榛名くんが、その秋丸くんという人を連れてきた。
「あ。この前一緒にいた人だ。」
というか、この眼鏡の人、よく榛名くんといるのを見かける気もする。なるほど。幼馴染だったのか。
「うし、揃ったな」
「急になんなんだよ榛名。今日からテスト期間なのわかってる?お前勉強してないだろ?」
「……ベンキョーより大切なもんがこの世にはあんだよ。」
「その大切なものをそれを説明してから人を呼べっつってんの!」
「なっ!オレ説明したろ!」
「してない」
「したっつの!」
「できてない」
「理解できねーオマエの頭がワリーだけだろ」
「じゃあ頭の悪いオレはうちに帰って勉強するよ」
「待て待て待て」
幼馴染なだけはあり、秋丸くんは榛名くんの扱い方を心得ているようだ。濱村さんはそれを見てケラケラ笑っている。
「あの、榛名くん。とりあえず説明するなら早くしてくれるかな?ていうか、本当に秋丸くん少しは事情知ってるの?」
「オマエと初めて話した日に、秋丸もいたろ?」
「うん。それで?」
「だから、知ってんだろ」
やっぱり私より榛名くんのが馬鹿だと思う。ちなみに濱村さんは未だに笑っていた。
そして中略。
それから、榛名くんの不親切な説明を受けた秋丸くんは、こころよく、協力を約束してくれた。
途中煮え切らない返事しかしない秋丸くんを榛名くんが蹴飛ばしていた気がしたが、私は何も見なかったことにする。
濱村さんがに、今日は予定があるようなので、私達は自己紹介だけ済まして、本格的な捜査(っていうのは変だけど)は、明日の放課後からにすることにした。
どうせ、今日は冨永くんだって、他の人だって帰ってしまっているだろう。図書室もしまっているし、私一人で出来ることが今日はないのである。
明日は、あるかもしれないけれど。
2011/04/29