君と未来を振り返る/加具山


「冬休みに誕生日って考えものじゃありませんか?」

「いや、別に、オレはそう思わねーケド。」

「だって、そのせいで私、加具山くん祝うの今日になっちゃったわけだし。」

私の彼氏、加具山直人くんの誕生日は、1月3日、つまり冬休み中で、三が日である。

うちは大抵3日に墓参りに行くので、去年も当日に祝うことが出来なかった。

まあ、去年はまだ付き合っていなかったし、当日に祝いたいと思っていたわけでもなかったのだが。

「来年は、受験とかで祝えなかったりするかも知れないし、やっぱ今回祝って起きたかったな。」

「祝ってくれただけでオレ嬉しいし、電話はくれたろ?それで十分だけど」

「私が会いたかったんだよ加具山に。」

私がそう言うと、加具山は照れた顔をして、恥ずかしいことさらりと言うなよ。と笑った。

その笑顔が好きなんだよな。と、思う。口にしないのは、加具山がまた照れるからだ。私はいつだって、過剰なほど愛情表現したいくらい加具山が好きで、でも加具山は、あんまりそういうことをしてくれない。

そういう加具山だから好きになったのだが、たまに不安になったりもする。でもその度、加具山は、何気ない一言で私を安心させてくれた。

「まあ、でもさ」

「ん?」

「来年、当日一緒に祝えなくても、再来年があるし、そんな機会、この先いくらでもあんじゃん。」

「あはは、それこそ結婚したら毎年絶対一緒にお祝い出来るよね。」

「だからお前!あんま恥ずかしいこと言うなって!」

「先に言ったのそっちだし。こっちが照れないと思ったら大間違いだから。」

「え、お前今照れてんの?」

何だかんだで、からかうように顔覗き込んでくる、男の子らしい加具山だって、それで顔近いのに気付いて顔を逸らしちゃう加具山だって、私はつまり、加具山の笑顔以外も大好きなのだけど。

それは、加具山くんがまた照れるから、私は言わない。それに、そんな恥ずかしい台詞を言って、私が照れ臭くないわけでは無いのである。

「あーもう。加具山が私と結婚してくれるって言ったの宮下に言ってやる。」

「はあ?それはお前が言っただけだろ!」

「加具山、私と結婚したくないの?」

「それは、簡単に出せる答えじゃないっつーか、そりゃ、オレもたまに考えっけど……」

「考えてくれたことあるんだ?嬉しいな。」

つまりは、何年先も私といてくれようとするあなたが、堪らなく愛しい。だから私は何年先だって加具山の誕生日を祝って行きたいのである。

「改めて言うけど、加具山くん誕生日おめでとう。大好き。」

「……なんだよそれ。」



2011/01/03
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