FBネタ/職業パロ

黒子/保育士



「疲れました…。」
「お疲れ様。ご飯できるまであとちょっと時間かかるから先にお風呂入ってきて。」
「はい…ありがとうございます…、」



一日の終わりの始まりは、くたくたになって帰ってきた彼を温かく迎えるところから始まる。

子供たちに振り回されて毎日お疲れ様であるから、事務職である私が家事の大半を担っている。
こんな同棲生活も、そろそろ一年が経とうとしている。



「はい、ウ●ッシュノンアル。」
「ありがとうございます。」
「一日お疲れ様ー!かんぱーい!」
「乾杯。」
「ねぇ、昨日のショウイチ君の話、どうなったの?」
「なんとかなりました。彼はとても賢いですからね、悪く言えばあざといんです。物分かりがとてもいいんです。」
「あざとい子供って…やだなー…そんな年からあざとい子ってあざといんだ…。」
「十人十色ですけどね。」



くすり、と笑って私の作った麻婆豆腐をつつく彼は髪から雫を垂らしている。それに気付いてタオルで拭ってやると、薄く笑んでお礼が出てくる。こんな所だけ、彼は抜けているというか、ズボラである。



「そうだ、日向先輩の来月集まろうって連絡、そっちにもいった?」
「ああ、はい。」
「行くの?」
「はい、その日は大丈夫なので。」
「よしよし。よかった。」
「行かないつもりだったんですか?」
「うーん、テツヤ君行かないなら行かないつもりだったんだけど。」
「どうしてです?」



ぱちくりとした互いの目線が絡み合う。私は少し不貞腐れたように憮然として答える。



「自分の彼女がさ!いくらバスケ部の飲み会と言えどね、自分のいない男まみれの飲み会に一人でやろうなんて思わないでしょ!」
「…すみません、」



しゅん、と効果音がつきそうなくらい落ち込む彼にこちらがへんに罪悪感に苛まれる。



「ご、ごめんって…でもさ、ちょっとなんか…もっと心配っていうか、その…気にしてほしい、なって…。」
「いいんですか、」
「え?」
「ボク、束縛するならとことんしちゃいますよ?」
「い、いいよ…?」
「なら…」



箸を傍らに置いて、彼がポケットをごそごそ漁ると手にはなんらかの箱が。



「キミの今後の未来を、ボクの一生に縛り付けて連れ立ってもらっていいですか。」



そっと彼が箱を開けると、小さいけど輝く石が中央に飾られたリングが。



「え…」
「実は、今か今かと迷ってました。どうか、ボクと結婚してください。」



イエスの言葉と一緒に、食卓の上を飛び越えて彼を抱き締めた。



「私の苗字を黒子にしてくれて、ありがとう。」



キスは麻婆豆腐の味がした。





一言どうぞ!





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