零 〜前奏曲〜
僕が初めてその人を見たのは、いつのことだったろう。 暖かい日差しのある日、巡察に出かけて。 偶然向けた視線の先に彼がいた。 見たこともないような金髪、純白の着物と漆黒の羽織。 誰もが目を引き寄せられるだろう姿。 一瞬で脳に焼きついた。 (いつか…また、会えるような気がする) 「お前…気になる奴でも――」 「……相手は、僕の手が届かない…」 「あんたらしくないな、総司。」 「――好きって想いに嘘はねえんだろ?」 「…が、好きなんです」 「僕はどうすれば…?」 「(嗚呼…もしもだめだったら、)」 「最初は千鶴を奪う気でいた。だが……」 「う…そ、だ…」 「沖田さん…答えを、聞かせてください」 「…ごめん。僕には、もう」 「労咳」 「千鶴はもう要らぬ。俺は――…」 「総司。…お前は、自分のために生きろ」 |